「セールスフォース・ドットコムが買収される」というウワサが駆け巡った十日間

2015年5月13日

日本が4月末から先週まで大型連休に入っていたあいだ、米国では「セールスフォース・ドットコムが買収提案を受けている」という噂がIT業界を駆け巡り、さまざまな報道が行われていました。

セールスフォース・ドットコムといえば、クラウド業界では特にSaaS分野のトップベンダの1つ。もしも本当に買収されるのであれば、クラウド業界の勢力地図が大きく塗り替えられるインパクトを持つことは間違いありません。

関連の報道は先週末で一段落したようで、今週になって新しい情報は出てきていません。これまでの動向をまとめてみました。

第一報はBloomberg

セールスフォース・ドットコムが買収提案を受けたと最初に報じられたのは、まさに日本の大型連休初日となる4月29日のこと。米Bloombergが第一報でした。

顧客管理ソフトの米セールスフォース ・ドット・コムは同社に対する買収提案に対処するため、財務アドバイザーと協力している。買い手候補から打診があったことに対応する。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

翌日、この報道をZDNetなどが追いかけます。

上記の推測記事で名前が挙がったのは、オラクル、IBM、マイクロソフト、Amazon、シスコ、Google。まあ、なんとなく大きなセールスフォース・ドットコムが買収できそうな規模の企業名を挙げただけのようにも思えます。

5月1日、ZDNetはさらに次の記事を掲載しますが、「コメントしない」と言っていることを「コメント」と報じているだけで、特に新しい情報はありません。

Catz氏はこれらの噂を即座に交わし、「この手の話にはコメントしない」と述べた。

しかし5月2日にはBloombergが新情報として、SAPとセールスフォース・ドットコムが昨年、買収について両者のCEOが協議していたと報道。ただしSAPの広報担当はこれを否定。セールスフォース・ドットコムの広報担当者はコメントしなかったとのこと。

ドイツのSAPと米セールスフォース・ドット・コムは昨年、戦略的な提携の可能性について両社の最高経営責任者(CEO)による協議を行った。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

ちょうどこの頃、SAPはフロリダで年次イベント「SAPPHIRE NOW 2015」を開催。そこでセールスフォースを買収するのでは、との報道陣からの質問に、欧SAPのCEO、ビル・マクダーモット氏がSAPの「買収にはまったく興味がないと発言」。これが5月5日のことです。

すると5月6日はマイクロソフトが買収提案を検討しているとBloombergが報道。ただし検討しているだけでまだ接触していないとも。

しかし5月8日にはロイターがこれを否定する記事を出しています。

これが先週金曜日のことで、これ以降は特に目新しい報道がされていません。

もちろん、報道されていない水面下で交渉が進んでいる可能性はありますが、報道をこうして見る限り、真実味のある報道は見当たらないことから、セールスフォース・ドットコムの買収の実現性が高まっているようには見えません。

果たして本当のところははどうなのでしょうか。

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タグ : Salesforce.com , クラウド


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