信頼できる歯医者を見つけるための9つのポイント | ライフハッカー[日本版]

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私に言わせれば、日本の歯科治療の9割は、正しく行われていないのです。(「はじめに」より)


歯医者が病気をつくる』(篠原裕之著、あさ出版)の著者はそう記しています。しかも、間違った歯科治療が、難聴、眼精疲労、顎関節症、慢性の頭痛、肩こり、腰痛、冷え、不眠、鬱などの症状を引き起こすこともあるのだとか。どれも歯や口とは関係がなさそうですが、間違った治療と正しいケアをしないと歯の噛み合わせがおかしくなり、病気や身体の不調につながるというわけです。

だとすれば重要なのは、信頼できる歯医者を見つけること。そこできょうは第4章「信頼してつきあえる歯医者の見つけ方 〜9つのチェックポイント〜」を見てみることにしましょう。


看板で判断するべからず


現在、日本にある歯科診療所は全国で6万8853軒(厚生労働省「医療施設動態調査」平成26年9月末)で、約5万店舗あるコンビニよりも多いことになります。そこで気をつけたいのが標榜科名(「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」)。

理由は、どの科名を記載するかについては、(届け出こそ必要なものの)審査があるわけではないから。つまり実績や経歴に関係なく、看板や広告には「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」などと自由に書き足せるので、看板などに記載されている標榜科名は頼りにならないというのです。(142ページより)

丁寧に、でも普通に話してくれる


歯科医の言動には、知識や取り組み方などが自然に表れるものなので、そこを判断することが重要。特にきちんと説明してくれるか否かは大切で、質問をぶつけても満足のいく説明をしてもらえないような歯科医師なら、注意すべきだといいます。

歯科医は専門性の高い仕事なので、数多くの専門用語が存在するもの。しかしスタッフとの会話ならともかく、患者さんへの説明までに専門用語を多用する歯科医師は、患者さんと向き合えていないことになるわけです。患者さんの身になれる歯科医師なら、現在の症状を理解し、普通のことばを選ぶもの。(146ページより)

話を聞いてくれる


患者さんの健康を考えて診療に臨んでいる意識の高い歯科医師なら、歯や口の状態について話を聞くだけではなく、持病や診療当日の身体の状況、最近の生活ぶりについてなど、さまざまなことを確認するそうです。歯がよい状態にあることは大切ですが、正確に機能しているかどうかはもっと大切だから。

そんな理由から、顔や首の筋肉のこわばりや働きをチェックしてくれるなら、一生つきあっていける歯科医師かもしれないと著者はいいます。どれだけ患者さんの話を聞き、患者さんの全身の状況を把握したうえで診療しようとするか。そこに、歯科医師としての思いや信念が表れるということ。(152ページより)

「飲み込み」について聞いてみる


「最近、食べものの飲み込みがよくないんです」という質問への答え方で、その歯科医師の知識の幅や、歯科医療に対する姿勢が見えるといいます。具体的にいえば、「飲み込みは歯科の範囲ではありません」というような答えが返ってきたら要注意。

なぜなら、飲み込みがうまくいかなくなる「接触嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)」は、脳卒中やパーキンソン病などでも起こる一方、歯科医が専門的に治療している部位が原因であるケースも少なくないから。それを「歯科の範囲ではないから」という歯科医なら、信頼できなくて当然です。(156ページより)

「熱いあとに冷たい」は信用できる


歯を抜いたり削ったりした場合、そこを埋めるために冠やブリッジなど、歯の補綴物(ほてつぶつ)をつくります。その際、歯科医院で型を採るのに使われるのが「寒天」と「アルギン酸」。寒天は細かく型を採れる反面、もろくもあるため、ある程度の硬さがあるアルギン酸(流動性があるので、単体での使用には不向き)と併用することが大切なのだそうです。ところが、アルギン酸のみで型をつくっている歯科医院があるのが現実。しかしそれでは、精密な模型をつくれません。

でも、2つの材料を使っているかどうかはすぐに判断が可能。寒天は加熱されているため、流し込まれると口内がわずかながら熱くなることに。一方のアルギン酸は加熱されていないため、ひんやりとしている。つまり「熱いあとに冷たい」と感じた場合は、適切な連合印象が行われたことになるのです。(160ページより)

レントゲンやCTを過剰に使う歯科医は要注意


レントゲン撮影装置には、レントゲンフィルムを用いるアナログ式と、フィルムを用いないデジタル式があるそうです。被曝量だけを考えたら、よいのはデジタル式。しかし美しさや解像度では、アナログ式が優れているのだとか。そこで、どういう理由でレントゲンを選んでいるのかを確認するといい。著者はそう提案しています。

レントゲンの進化形といえる「歯科CT撮影装置」も、正しい使い方をすれば患者さんの大きな助けに。しかし3D撮影の場合、被曝量はデジタル式のパノラマレントゲンの数十倍。保険点数の高さから歯科CTを何度も使う歯科医師もいるそうなので、注意したいところです。(165ページより)

衛生状態は最大のチェックポイント


歯科医院の施設でチェックすべきポイントは、口内のゴミを吸い取るバキューム装置。従来のバキューム装置よりも力が大きい「口腔外バキューム装置」が設置されていたら、患者さんのことを考えてくれる歯科医師である可能性が高いとか。

また、治療に使う器具を消毒・保管するための装置を入れているか、あるいは医院全体の衛生状態もチェックしたいところです。(170ページより)

サイトを使って人となりをチェック


先に触れたとおり、歯科医院の看板や広告に掲載できることは、歯科医師法によって制限されているため、選ぶ際のヒントにはなりません。そんななか、比較的自由な記載が許されているのが、各歯科医院のサイト。そこには多くの情報が詰まっているので、場所や診療時間だけでなく、細かく見てみるといいそうです。

ただし、「××学会創設」などの記載には惑わされるべからず。学会は届け出さえすれば加入できるので、「学会創立=歯科医師として実績がある」とは限らないから。肩書きの多さを判断基準にすると、選択を誤る危険があるわけです。(174ページより)

所属学会で意識の高さがわかる


一方、所属している学会を知ることは、その歯科医の意識の高さ、現在実践していることや将来目指しているビジョンを知るヒントになるといいます。たとえば研究の幅を広げようとしている歯科医師なら、口腔外科関係の学会や、顎関節、咬合関係の学会にも所属しようと考えるはず。本気で知識を深めようとすると、所属する学会も増えてくるものだということ。そこが、判断基準になるのです。

また、歯科医師としての実力を知る基準となるのが、学会の「専門医」となっているかどうか。厚生労働省の指定を受けた学会は、一定以上の技術を持つ会員を、専門医として認定することが可能。つまり専門医を名乗っている歯科医師は、その専門分野で相当のレベルに達しているということなのだそうです。(178ページより)

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他にも、口に関する基礎知識、口の健康チェック法、正しい歯磨きの仕方など、歯のケアや歯科医療に関するトピック満載。解説もわかりやすいので、すぐに役立てることができると思います。


(印南敦史)