知らない間に創造性を無駄にしている4つの行動 | ライフハッカー[日本版]

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これまでにも、創造力をよどみなく流れるようにするコツや、ひらめきの瞬間を増やす方法を紹介してきました。しかし、どうやら私たちの多くは、創造性を養うよりも、創造性を自分で無駄にする傾向があるようです。今回は、あなたもおそらくやっている創造性を無駄にする行動を検証してみます。


休憩をとらず、問題に頭を打ちつづける



何かに行き詰まったとき、突破できるまでその問題に頭を打ちつづけるのは簡単です。しかし、科学的に言えばそれは最悪のやり方です。長年にわたる数々の研究により、休憩をとり、退屈さを味わうことが、新しいアイデアを生み出す鍵であることがわかっています。

なぜ退屈が鍵なのか? 理由はとてもシンプルです。休憩をとり、退屈さを感じはじめると、それがシグナルとなり、脳に、あなたが新鮮なアイデアを必要としていることが伝えられます。これが、創造的思考を促します。白昼夢、さまよう心、さまざまな言い方がありますが、こうした状態になった脳は、問題を新たな角度で見はじめます。つまり、人は退屈になると退屈から逃れようとし、脳が新たな解決策を探し始めるということです。最高のアイデアを思いつくのが、えてしてシャワー中であるのはそのためです。

こうしたことが起きるのは、脳に2つのモードがあるからです。「収束モード」(新しいことを学んだり、仕事に取り組んでいるとき)と、「拡散モード」(リラックスしているとき)です。人は、「拡散モード」のときにより創造的になることがわかっています。さまざまな研究がこのことを示しており、頭がぼーっとしている状態や、眠気を感じていたり、ほろ酔いの状態も拡散モードに含まれることがわかっています。

同じことが休憩にもあてはまります。専門誌『Journal of Experimental Psychology』に掲載されたある研究によると、ただ歩くなどの単純な行動でも創造性が高まるそうです。ほかにも同様の結果を示す研究がいくつかあります(エクササイズも有効だとか)。なぜそうなるかはわかりませんが、歩くだけでも少しの間気分が良くなり、心が仕事から解放されます。それが創造性の壁を突破するのを助けてくれます。

どんな方法でもいいので、積極的に休憩をとるようにしてください。昼寝も、正しく行えば、創造性を高めるのに役立ちます。

コンフォートゾーンに留まり、世界から孤立する


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新しい体験を求めず、コンフォートゾーンに閉じこもるのはとても簡単なことです。しかし、それでは、効率はよくなれど、いろいろな面で創造性は死んでしまいます。コンフォートゾーンに閉じこもっていると、世界から孤立することにもなります。新しい体験もせず、新しい人びとや文化に出会うこともなく、困難に挑戦することもありません。こうした状態にいると、あなたが思うよりずっと速く、創造性は死んでしまいます。

例えば、米誌『Atlantic』は、研究者のアダム・ガリンスキー氏の言葉を引用しながら、旅行をして外国の文化に深く関われば、創造性が高められると説いています。

「鍵となる重要なプロセスは、多様な文化に関わり、身を浸し、順応することだ。外国に住みながら現地の文化に参加しない人は、旅行をして現地の文化に深く関わろうとする人に比べて、創造性の高まりは少なくなる」つまり、春休みにカンクン(メキシコの都市)に1週間行くだけでは、創造性の高まりは期待できないということだ。一方、カンクンに行き、現地の漁師と一緒に過ごせば、結果は違ってくる。


ガリンスキー氏は、外国に住んでいるクリエイティブ・ディレクターたちにインタビューを行い、さまざまな指標でその創造性を評価しました。結果、外国に住み、現地の文化に深く関わっているディレクターは、革新性において、軒並み高いスコアを獲得しました。

創造性を高めるためにコンフォートゾーンを出なさい、とは昔からよく言われることです。だからといって、毎年海外旅行をすべきというわけではありません。重要なのは、新しい体験をすることです。自分の街で、まだ行ったことがない場所へ出かけていったり、地元の文化的なルーツを調べてみるのでもかまいません。何かしら新しい体験をし、深く探求する時間を自分に与えてください。自分がどれほど創造的になれるか、きっと驚くことでしょう。

ほかの人をそっくり模倣する


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これまでライフハッカーでも、さまざまな人の創造性への取り組み方を紹介してきました。ほかの人のやり方を学ぶのは良い出発点になります。しかし、そこで終わってはいけません。成功者のマネをすれば全てが解決するわけではないのです。例えば、あなたがヘミングウェイの大ファンだとしても、ヘミングウェイと全く同じスケジュールで生活する必要はありません。

とはいえ、スケジュールすること自体は助けになります。創造性は突然やってくるという神話がありますが、そんなことはありません。誰にでも最も創造的になれる時間帯というものがあるはずです。その調べ方はいろいろありますが、おそらく自分が一番創造的になれるのはいつか、あなたもわかっていると思います。その時間帯を軸にしてスケジュールを組むようにしてください。ほかの人の日課をそっくりマネしてはいけません。誰にもで当てはまる万能な日課などありません。アインシュタインがある時間にあるやり方で昼寝をしていたからといって、あなたがそうする必要はないのです。

同じことがスケージュール以外にもあてはまります。私たちはとびきり創造的だった天才たちのストーリーを褒めたたえます。そして自分たちにも同じことが起きないか期待するのです。しかし、それはうまくいきません。スティーブ・ジョブズがAppleを始めたのがガレージだったからといって、あなたまでガレージで起業する必要はありません。誰かをそっくり模倣してはいけません。自分と自分のやり方に合ったアイデアをもらったら、先へ進みましょう。

サイドプロジェクトをないがしろにする



手付かずになっている創造的プロジェクトがいくつありますか? 10? 20? 100? アイデアが浮かんだ瞬間は、創造的になった気がするものです。しかし、行動に移さなければ(ほとんど)無意味です。

サイドプロジェクトであれ、仕事のプロジェクトであれ、私たちはプロジェクトに取り組む時間をなかなか自分に与えません。失敗が怖い忙しすぎる、理由はいろいろあるでしょう。しかし、プロジェクトから逃げていては事態は悪化するばかりです。専門誌『European Journal of Work and Organizational Psychology 』に掲載された研究によれば、創造的なサイドプロジェクトは、回復や創造性の向上にとって必要不可欠なものだそうです。

心理学的観点から言えば、その中に乗り越えたい課題があり、自分のスキルとちょうど釣り合うような活動に取り組むのが理想的だ。もちろん、同じことが仕事にも当てはまる。すなわち、フロー体験と精神の健康には正の相関があるということだ。

しかし、私たちの社会では、余暇が仕事からの「逃避」に使われている。この意味で言えば、「現実逃避」とは、余暇を自分を成長させる活動に使うかわりに、受け身の活動に身を任せ、日頃のストレスや厄介事から逃れようとすることだ。こうした行動パターンが、受け身のライフスタイルや倦怠につながり、やがては無感動と抑うつに陥ることになる。


サイドプロジェクトは、ほかの創造的活動と無関係なものでもかまいません。サイドプロジェクトのポイントは、余暇の時間を利用して脳を育て、ほかの創造的活動に戻ったときに、新たな視点や経験、アイデアを持てているようにすることです。

もちろん、創造的なサイドプロジェクトに取り組めば、さまざまな障害にぶつかるでしょう。大切なのは、とにかく始めることであり、毎日少しでもプロジェクトに取り組むことです。一見無関係に思えますが、サイドプロジェクトをないがしろにするのは、ほかの創造的な仕事にとっても良くないことなのです。


Thorin Klosowski(原文/訳:伊藤貴之)
Photos by Tina Mailhot-Roberge, Lars Plougmann.