ISに命狙われ来日 イラク人医師、覚悟の一時帰国へ:朝日新聞デジタル

 過激派組織「イスラム国」(IS)から逃れてきたイラク人女性が長野県松本市に暮らしている。人口約3300万人のイラクで人口の3%に満たないキリスト教徒。女性で、職業上の地位も高かったことがISに問題視され、銃撃などで4度、命を狙われた。

 リカア・アルカザイルさん(45)はイラク北部・モスル出身の医師。小児がんや白血病が専門でイスラム教徒の患者たちにも慕われていた。しかし昨年6月にISがモスルを制圧。キリスト教徒に対し、改宗か高額な人頭税の支払いを求め、さもなければ処刑すると迫った。避難しても身の危険が続き、母(67)とともに、かつて留学していた日本へ。同市内のNPOで、避難民らからSNSなどを使って集めた情報を医療支援につなげる活動をしている。

 彼女は6月2日、キリスト教徒の避難民たちに医薬品を届けるため、イラクに一時帰国する。「ISは怖いが、勇気を出して帰る。日本での支援活動のことも彼らに伝えたい」

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、イラクからトルコなど近隣諸国に逃れた難民は32万人以上、国内避難民は342万人にも上る。(鬼室黎)

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