ガートナーがIaaS市場を分析したマジッククアドラント公開、リーダーのAmazonクラウドは2位以下の全合計より10倍も使われており、マイクロソフトが猛追中。Googleも急上昇

2015年5月27日

米調査会社のガートナーは、IaaS市場におけるベンダの特長を図示した2015年版のマジッククアドラント「Magic Quadrant for Cloud Infrastructure as a Service, Worldwide」を公開しました。

このマジッククアドラントでは、右上に位置づけられるベンダほど市場に対応する成熟した製品を提供しており、市場の方向性にも影響を及ぼすリーダーであるとされます。右下はビジョナリーとして概念は先行するが能力が実証されていない傾向があり、左下は特定市場を指向したニッチなプレイヤーの傾向があるとされています。

今回発表された2015年5月時点でのクラウドインフラのサービスを提供するベンダを位置づけたマジッククアドラントでは、Amazonクラウドが他者を大きく引きなす圧倒的なリーダーとして位置づけられ、マイクロソフトが2番手リーダーと評価されています。

下記は、ガートナーが公開した2015年5月版の図に、昨年からの推移が分かるように2014年版の主要なベンダの位置をグレイの点で加えたものです。

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これを見ると、Amazonクラウドは昨年からさらにリーダーの位置を確固としたものにしている一方、マイクロソフトが大きく移動してAmazonクラウドを追いかけているのが分かります。IaaSにおけるマジッククアドラントの「リーダー」の位置にいるのは、この2社のみです。

Googleは概念先行からよりリーダーに近づき、VMwareもニッチプレイヤーの位置から今年は概念先行型へと進行しています。一方、ポジションを進めた主要ベンダのなかで、唯一大きく後退したように見えるがIBMです。よりニッチプレイヤーに近い位置へと変化しています。

国内ベンダとしてはNTTコミュニケーションズと富士通が図に登場しています。

Amazonクラウドは2位以下を合計した10倍の規模で利用されている

ガートナーによる主要ベンダの評価を見てみましょう。トップのAmazonクラウドについては、圧倒的なマーケットシェアのリーダーで、2位以下の合計の10倍以上もの計算資源が利用されていると想定されています。そしてミッションクリティカルな用途を含むエンタープライズ向けを始めとした幅広い顧客層を抱えているのが強みである一方、管理は複雑でソリューションアーキテクトなどとの連係が欠かせないとしています。また、機能追加などが頻繁に行われるため、より効果的に利用するためにはそうした情報に興味を持つことも重要だとしています。

マイクロソフトはIaaSとPaaSのコンポーネントが統合されているのが強みであり、急速に機能強化を進めてきたとのこと。またパブリッククラウドだけでなくオンプレミスのインフラや開発ツールとの連係が密接である点も強みとして評価されています。一方でまだクラウドインフラにおけるエコシステムは発展途上にある点などが課題と指摘されています。

Googleの強みは、高度にイノベーティブな社内のテクノロジーをサービスとして提供できる点にあります。一方で弱みもこの部分にあり、あまりにテクノロジー中心なビジネスであることで、まだエンタープライズやミッドマーケットの顧客との付き合い方を学んでいる段階であり、営業、ソリューションエンジニア、サポートなどの拡大が必要だと評価されています。

そしてIBMですが、IaaSとPaaS、SaaSの要素、運用、ミドルウェアなどを包括的にコンサルティングし、あるいはアウトソースできること、グローバルに顧客と連係できるといった点が強みに対し、肝心のSoftLayer自身は2014年に機能の大きな進歩がなく、強化したPaaSのBluemixについてはまだSoftLayerとの統合度が低いなど具体的なメリットをもたらすものになっていないと指摘されています。

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タグ : IaaS , クラウド , 調査結果


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