エルサレム生まれに「イスラエル」表記認めず 米最高裁:朝日新聞デジタル

 エルサレムで生まれた米国人は、米国パスポートの出生地欄に「イスラエル」と記すことは認められない――。米連邦最高裁が8日、こんな判決を言い渡した。外国政府の承認は大統領の専権事項であると述べたうえで、米国がエルサレムについてイスラエルの領有権を認めていないことを理由に挙げた。

 米国はイスラエルとパレスチナの間で争いがあるエルサレムの領有権については現在も明言していない。一方、親イスラエル派からは「イスラエルの首都として認めるべきだ」という意見が強い。米議会は2002年、「エルサレムで生まれた米国民が希望すれば、旅券で出生地をイスラエルと表示できる」という法律を可決。ブッシュ前大統領が「米国の方針は変わっていない」と留保をつけながらも署名して成立した。

 訴訟は、法律成立の直後にエルサレムで生まれた少年とその家族が、「イスラエルという表記を求めたが、認められなかった」として起こしていた。判決は「議会は歴史的に、外国政府の承認や領有権の判断で大統領の専権を認めてきた」と述べ、法律の規定が無効だと結論づけた。(ニューヨーク=中井大助)

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