中国の犬肉フェス、地元の言い分「クリスマスの七面鳥はいいの?」 | ニコニコニュース

中国の広西チワン族自治区の玉林市で売られていた生きた犬。売っていた男性は「買った人が犬をどうするかは知らない」と答えた=2015年6月21日、金順姫撮影
withnews(ウィズニュース)

 中国の地方都市、玉林が、世界から注目されています。「ライチ犬肉フェスティバル」をめぐり、犬料理愛好家と動物保護団体などが対立。双方が主張をぶつける事態になっています。「ライチ犬肉フェスティバル」の歴史とは。何が批判され、地元はどのように反応しているのでしょうか?

【画像】中国で食べられている犬鍋「犬肉はカロリーが高く、体が温まる」

地元の風習、100年前にも記録
 議論の的になっている犬料理ですが、中国では日常的に食べるものではありません。自宅のキッチンで調理することも、ほとんどありません。動物保護に詳しいヒューストン大学(University of Houston-Downtown Campus)の李堅強(Peter Li)准教授は、ニューヨーク・タイムズの取材に対し、こう答えています。

 「毎年料理で殺された犬は1千万頭に上るが、主に三つの地域に集中しています。最も多く消費されているのは広東省や広西チワン族自治区の南地域で(65%)、2番目は中国東北地方の朝鮮族が多く居住する吉林省、3番目は江蘇省の沛県と近隣地域です」

 玉林は広西チワン族自治区に位置し、夏至の日にライチと犬料理を食べる習慣があります。100年前の雑誌「時事画報」でも、同じような風習があったことが記録されていると言われています。


ペットブーム、中国国内からも批判の声
 反対派の中で根強いのは「盗まれた犬が使われているのではないか」という批判です。ネット上では、農村部で飼われている番犬や野良犬から、都市部のペットも含まれているという書き込みが相次いでいます。

 また、中国で高まるペットブームによって、犬を友人だととらえる人も増えました。その結果、大量の犬が殺されることに、「残酷」「ボイコットするべきだ」という声が上がりました。実際、浙江省の金華市では600年以上続いてきた犬料理の祭りが取りやめになり、貴州省の名産品リストからも犬料理の名前が消えました。

 署名サイト「change.org」では習近平国家主席に向けて「【ユーリン市犬肉フェスティバル】の阻止を求めます」という活動がスタート。400万人以上の署名が集まっています。


クリスマスの七面鳥は?
 一方、地元からは、犬料理への批判に対し、西洋の価値観で伝統文化への侵食だという声もあがっています。

 中国版ツイッター微博では、外国からの批判を受け「クリスマスのターキー(七面鳥)を食べる習慣にも反対」という投稿が相次いでいます。また普段、犬料理を食べない人からの発言も出ています。

 2万人以上のフォロワーを持つ健康管理雑誌社の社長の王炎氏(@健康媒体王炎)は「ヒンズー教徒は牛を食べない。イスラム教徒は豚を食べない。しかし西洋人は牛も豚も食べている。僕は元々犬料理を食べないが、ここでは、今日から正式に食べることを宣言します」などと書き込みました。

風習は変えられるのか 世界が注目
 犬料理愛好家と、反対派の議論は、平行線をたどっているのが現状です。
 地元では、もともと犬料理が根付いていたのは事実です。外部からの批判で、それは変わるのか。動物愛護の考えを持つ人が増える中、短期間に大量の犬を殺すことは問題なのか。世界が注目しています。