これが近未来! インタラクション・デザインの世界へようこそ


スマートウォッチやタブレット。新しいモバイルっていいけど、何か物足りない……そう感じたことはありませんか? 映画「バックトゥーザフューチャー」で描かれた2015年。近未来的な世界ってまだまだこんなものではないはず、と。

今年4月下旬のこと。お隣の国、韓国ではソウルに世界中の大学から数十の研究グループが集結。CHI(Computer-Human Interaction Conference)として知られるのは、コンピューターと人類のインタラクションに関するカンファレンス。

多くの意味を持つインタラクション・デザインというテーマのもと、最新テクノロジーを組み合わせた3Dプリンター、ロボットと人に関するリサーチ、新しいパスワードのあり方、そして爪や肌を使ったユーザインターフェイスなど、科学者やデザイナーが今まさに検証中のあらゆるプロジェクトがお披露目されました。

しかもこれ、今年とか一年後に発表されるスケールの話じゃないんです。この先数十年に渡って開発が進むデバイスですよ。さぁ準備は良いですか〜?

ロボットが同僚になると役立つ? それとも不気味?


まずはCHIで最もフォーカスされていたトピックの一つ、「ロボットが同僚になるとき、人はどう思うのか」について。ロボットが人間らしくなるにつれて親近感や好感度が上がる一方で、ある時点で嫌悪感に変わる「不気味の谷現象」のように、タフツ大学の調査では、ほぼ人間にそっくりなロボットは実際、一緒に働く人間にネガティブな影響を与えることを結論付けました。一方、ウィスコンシン大学の調査によると、ロボットには、なおも人間のようなキャラクターが必要であると主張。工場で横に並んで働くロボティックな機械は、社交的な態度ができるよう慎重にデザインされているのだそうです。

指から繋がるインターフェイス


例えば、レシピのページをスワイプしたい、でも腕まで小麦粉が浸っている状況。これはピンチ。タブレットは汚したくないけどいちいち手を洗うのも面倒。そんなとき、そしてそれ以外のときでもNailOを装着していれば、親指でサッとスワイプが可能に。この"親指の爪ウェアラブル"、女性のネイルアートにインスパイアされてMITメディアラボが開発したのだそうです。以前、ギズモードでもご紹介しました



慶應義塾大学とマイクロソフトによるFluxPaperは同じロジックに従いながら日々デバイスに新しい命を吹き込むプロジェクトを進行中。

FluxPaper、見た目は紙。そう、どう見ても紙なんです。そこに薄い磁気(しかもプログラム可能)がコーティングされていて、その仕掛けによって紙がインタラクティブに動く動く……これ、シンプルなのに、マジックのような動きをしてかっこいいんです。

どういうことかというのは、こちらの動画をご覧あれ。


パスワードの未来


これまでのパスワードのやり方がなくなるわけはないんです。ただ、それに代わる新しい(そしてクールな)やり方をいくつかのプロジェクトが発表しています。例えばミュンヘン大学のユニークなタイトルの論文「I Know What You Did Last Week! Do You?(あんたが先週やったんでしょ、知ってるわよ)」

例えばパスコードを忘れたときに、前日までスマホをどう使っていたか、誰に電話したか、どのアプリを使っていたかなどの情報をもとにアクセスできる新しいやり方を開発したんです。

また他のプロジェクトでは、より安全なPINをつくるSwiPINを開発。キーパッドを使って数字をタップするというよりも、上・下などのシンプルな動きでアクセスするこちらのやり方を紹介しています。


繊維をプリント、タッチにも反応する3Dプリンタ


さてお次は、ディズニーの研究チームが贈る新しい3Dプリンター。繊維素材で3Dプリントをして完成したものが紹介されるのですが、ヒトデの形をしたセンサータッチはなかなか実用的。個人的にはピンクのキティちゃんらしきモバイルケースが気になりました。



そしてこのTactumは、まさに近未来的な3Dプリンター。指を動かしてスクリーンの中のオブジェクトを作っているのです。


着メロでもバイブレーションでもない、体感できる通知


小さい頃、「これ、なんて書いているでしょう」ってゲームを家族や友人とやりませんでしたか? 指を使って、背中や腕に文字をなぞって、何を書いたか当てる伝言ゲームのような遊び。それに似たようなのが、Skin Drag。ドイツの研究者たちが発表した、肌に情報を発信する腕時計型のプロトタイプです。

現在の通知機能は、メッセージが届いたとき知らせるもの。これがメッセージの内容までも自分にだけ通知することができるようになれば、アクション映画のヒーローのように装着したウェアラブルから瞬時に情報を受け取って敵を先回り……なんて妄想も膨らみますね! え?



同じくアクション映画に出てきそうな(?)クルーズコントロールという歩行者のためのプロジェクトもあります。小さな電気の刺激を与えて、よく歩けるようにするというもの。筋肉の動きをコントロールするというよりも、ペースを教えているようなイメージなのだそうです。ちょっと奇妙なそのプロジェクトの動画がこちら。


自分仕様のデバイスはいかが


みんなと同じスマートウォッチは嫌だ、というあなた。Patina Engraverというプロジェクトが発表したのは、あなたの活動データから作られる完全自分仕様のバンド。動けば動くほどパーソナライズされていくみたいです。



最後に紹介するのはiSkinとよばれる薄くて柔軟なウェアラブル。動画の通り、ステッカーのような素材なので、耳の後ろに貼って携帯の音量を調整したり、スマートウォッチの隣に装着してキーボードのように使うことも可能です。



気になるプロジェクトはありましたか? 未来にワクワクしながら待つことにしましょう。


Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文
(Rina Fukazu)