次はヨーロッパ。ネット中立性をめぐる戦い

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議論の舞台はヨーロッパへ。

アメリカではひと段落ついたネット中立性規則ですが、今はEUで大詰め段階。EFFは、厳しい規制の必要性を訴え、欧州議会に消費者が声を届ける必要性を呼びかけています。

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2月、アメリカ国民はネット中立性をめぐる大きな戦いに勝利しました。採択された新しい規則によって、巨大通信事業者がインターネット上のトラフィックを遮断したり、速度制限したり、有料で優先したりする不正で差別的な行いを、FCCが禁止できるようになりました。

あれから4ヶ月。アメリカではネット中立性をなんとか阻止しようとする通信事業者の裁判所への訴えや、議会による予算打ち切り案といった工作が完全には収束していない状況ではありますが、今度は大西洋の向こうのヨーロッパでネット中立性をめぐる議論が過熱しています。2013年、EU域内27ヶ国の代表者からなり、欧州委員会(=EC・直接選挙で選出されていない人たちの行政機関)は、携帯の国際ローミングなどの通信に関係するトピックを盛り込んだ「電気通信単一市場規則」の案の中で、ネット中立性に触れています。

このECによるネット中立性規制案はゆるいものでした、そのため、2014年4月に欧州議会(=EU市民から直接選出される)はより厳しい規制を提案しました。EU理事会(=EUの閣僚レベルで構成されて意思決定を行う)は欧州議会の案に対して、この2月に自分たちの案を提出。その案の中では欧州議会が求めた厳しいネット中立性の原則や、法律の改正案がほとんど消されていたのです。

ECと欧州議会の案で大きく違うのは、ECはEヘルスなどの特定サービスについてはネット中立性の規則を適用しないとしているところです。たとえ、その特定サービスが他のインターネット上のサービスの速度を落とすことになろうとも、です。欧州議会はこの部分が法の抜け穴になると考えていて、特定サービスが他のサービスに影響を与えないように、異なる通信経路を通すことを求めています。

さらに、ECの提案には、ネット中立性には関係ない、コンテンツの遮断に関する文言が入っています。遮断するコンテンツの例には児童ポルノやエンドユーザーが設定したペアレンタルコントロールやスパムフィルターが上げられています。欧州議会はこのトピックはネット中立性に関わるものではないので、同じ規制に含めずに別で議論するべきだと反対しています。

EC、欧州議会、そしてEU理事会。この3つの機関はEU規則の投票をする前に、ネット中立性に対する共通の姿勢に合意する必要があります。これまで3回、この3者による話し合いが行われていて、最近では6月2日に議論が行われました。つい先日、欧州議会が提出した妥協案によって4回目の最終会議が近日中に行われる予定です。(EUが規則を決めるまでの流れについては、こちらのインフォグラフィックがわかりやすいです)

EUの議論をややこしくしているのは、携帯の国際ローミングとネット中立性を一緒くたにして規則にしようとしているからです。法外な国際ローミング料金は、ヨーロッパではまごうことなき悪者。そのため、もし欧州議会がネット中立性規則のために一歩も引かず、結果として規則が成立しないようなことになったら、悪者・国際ローミング料金がなくならなかったじゃないか、と欧州議会が非難の的になってしまうでしょう。一方で、欧州議会がその批判を受け止めてくれるのなら、ふたつの問題がつながっている状態は、ヨーロッパの人たちが支持する厳しい規則に向けて強い立場を持つことになるでしょう。

ヨーロッパのデジタル権利団体は、ヨーロッパの人たちが欧州議会の議員に無料で電話や電子メール、ツイッターでコンタクトできるウェブサイトを公開しました。欧州議会がネット中立性確保に向けて自分の立場を貫けるように。そして、抜け穴のある妥協案ではなく、厳しい規制を求めるためです。


本記事は電子フロンティア財団(EFF)のJeremy Malcolm氏による記事を、クリエイティブコモンズライセンスによって転載したものです。

image by nrkbeta under Creative Commons license

Jeremy Malcolm - Gizmodo US[原文
(conejo)

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