【北京時事】中国の世界遺産である「万里の長城」が風雨による浸食や人為的な損壊などの影響を受け、明朝時代に建設された全長約6260キロのうち、3割近くに当たる1962キロを既に消失していることが分かった。中国メディアがこのほど、国家文物局の調査結果として報じた。

 昨年調査した「中国長城学会」によれば、状態が良好に保たれているのは、全体の約8%だけ。暴風雨や長城に生えた植物などによる損壊が大きな原因となっている。また貧しい村では地元住民が長城のレンガで自宅を造ったり、盗んだレンガを1個30元(約600円)程度で売ったりしたケースもあるという。

 中国では長城を保護する条例が制定されているが、長城周辺には貧困地域も多いため、管理が行き届いていない。学会幹部は「世界最大規模の文化遺産であり、一部門に頼るだけでは保護できない」と指摘し、政府全体としての取り組みの必要性を訴えた。