EU、ギリシャにアメとムチ=緊縮受け入れ促す | ニコニコニュース

 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)は3日、ギリシャの国民投票を5日に控え、アメとムチの両面で財政緊縮策の受け入れを懸命に迫った。ユンケル欧州委員長はルクセンブルクでの記者会見で、「緊縮策に『ノー』の民意が示されれば、ギリシャの立場は劇的に弱まる」と圧力を強め、国民に緊縮拒否を呼び掛けるチプラス政権を改めてけん制した。

 ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長も3日、投票結果にかかわらず、ギリシャは厳しい緊縮策を避けて通れないと断言。「『ノー』が示されれば緊縮策が不要になると宣伝する政治家は国民を欺いている」と厳しく批判した。

 ギリシャ向け融資を管理しているユーロ圏の欧州金融安定化基金(EFSF)はこの日、デフォルト(債務不履行)状態のギリシャ向け融資について、債権回収の留保を決定。EFSFのレグリング最高経営責任者(CEO)は、関係機関と緊密に連絡を取り合いながら「今後の行動を決める」と述べ、投票結果を待つ考えを示した。

 懐柔策も忘れていない。ロイター通信によると、欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁は、投票で緊縮策が支持されれば、ECBは同国の銀行への資金供給を増額する可能性があると指摘。資金不足で休業に追い込まれた銀行の営業を再開できるかどうかは、国民の投票行動にかかっていると促した。

 これに対しギリシャのバルファキス財務相は、投票で緊縮反対の世論が明らかになれば、「EUとの支援交渉を強い姿勢で再開できる」と楽観論を展開。欧州メディアに「水面下でEUから興味深い提案を受けている」とも述べたが、ユンケル委員長は「交渉は行われていない」とあっさり打ち消した。