「グラナド・エスパダ」9周年イベント開催直前インタビュー。温泉にプレイヤーを集めて座談会を行う意味,そして「みんなで色々捨てる」というテーマの真意とは | ニコニコニュース

 ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下,HUE)は,既報のとおり2015年7月11日に,同社がサービスを提供するオンラインRPG「グラナド・エスパダ」(以下,GE)のオフラインイベント「9周年記念温泉座談会」を開催する。「みんなで色々捨てる」をコンセプトとしたこのイベントでは,GEのサービスイン9周年を記念したアップデートの発表や,作り手とプレイヤーが参加する座談会の開催などが予定されている。

 今回4Gamerでは,このイベントの開催に先駆け,座談会の企画意図や,そのテーマとなる「みんなで色々捨てる」の意味するところ,そして9周年アップデートの方向性などを,HUEの事業部長を務める中尾圭吾氏と,GEの日本プロデューサーである松田勇樹氏にそれぞれ聞いてみた。

■来たるべき10周年に向けて,ゲームの面白くない部分を捨てていく

 温泉座談会の企画意図について答えてくれたのは,中尾氏である。あらためて説明すると,中尾氏は2014年初頭まで7年以上にわたってGEの日本プロデューサーを務めた人物だ。近年は新規タイトルの開発を中心に行っているとのことだが,今回はGEの大型アップデートに向けて久しぶりに参戦しているようだ。

 中尾氏は今回のGE9周年について,2016年に迎える10周年とセットで考えているという。サービスインから10年になるオンラインゲームとはどうあるべきか──そう考えたときにGEをプレイしている中尾氏の頭に浮かんだのが,「捨てる」というキーワードだった。

 「ここ数年,世間では断捨離とか整理術とかが話題(?)になっていますよね。そんな情報を見て,GEをもっと面白くするためには,固定観念に捉われず,つまらない部分を捨ててみてはどうかと考えたんです。これがいろいろと冷静に見つめ直すよい機会になりまして,予想以上にGEの根本に食い込む問題にまで着手することになってしまいました。すべてを捨てるには9周年だけでは間に合いません。そこで10周年に向けて,9周年から段階的にアップデートしていこうと決めたんです」(中尾氏)

 ただ,面白くないと感じるポイントは人によって異なる。そこでプレイヤーからも直接意見を集める場を設けようと企画したのが,今回の温泉座談会だ。つまり,作り手とプレイヤーが,「GEとは,どんなところが魅力のゲームだったのか」という“思い出”を語り合いつつ,捨てるべきコンテンツは捨て,ダメな部分を作り変えるために,建設的な意見交換をしようというわけである。

 「それで座談会のテーマを『みんなで色々捨てる』に決めました。今のGEにとって余計な部分をカットして,必要なところにリソースを集中するために,プレイヤーの皆さんからもご意見を頂戴しようと。オフラインだけじゃなくてオンラインからも意見がほしかったので,温泉の宴会場から放送しようって決めたんですけど,放送用の設備ではないのでスタッフにはメチャクチャ負担が掛かっているようです……」(中尾氏)

 座談会ではさまざまなトピックが挙がると予想されるが,中尾氏は今回サンプルとしてすでにアップデート案をいくつか用意しているようだ。どれぐらい大きく変えるかを見てもらったあとにユーザーからも意見を集めていきたいということらしい。

 1つめは,「PvPにおけるワンキルゲーを終わらせる」──つまり,スキルが一撃決まるかどうかで勝敗が分かれてしまうPvPの現状を改善しようというものである。

 中尾氏は,かつてのGEのPvPについて,一人のプレイヤーが3キャラを同時に操作するシステムであるため,ほかのオンラインRPGとは違った独特のテンポを持っていたとする。たとえば,あるキャラがスキルを詠唱する時間を確保するために,ほかのキャラで守ったり,あるいは相手を転倒させて,そのスキルを当てやすくしたり,逆に相手のスキルに当らないよう詠唱時間内に効果範囲内から逃げたりといったような,戦略/戦術性を重視した比較的スローテンポの進行だったのだ。


 そうした中で,相手を一撃死させるような強力なスキルは,詠唱時間を長くしたり,効果範囲を狭くしたりしてバランスを図っていたのである。

 ところがアップデートを重ねていく過程で,あとから追加される上位キャラの中には,強力なスキルであっても詠唱時間が短く,かつ効果範囲が広いといった形で,従来キャラと差別化していくものが増えてきてしまった。これには,ゲームのテンポを良くするというメリットもあり,ある意味では必然的なアップデートではあったようだが,結果として,現状のGEのPvPのテンポは上がり,どんなに上手なプレイヤーであっても相手の放つスキルを回避できず,悪く言ってしまえば先にスキルを当てたほうが勝つという,大味なゲームになってしまっていると述べる。

 「だからといって,昔のテンポに戻せば問題が解決するかというと,話はそう簡単ではありません。昔の状態に戻すと,おそらく『スピード感が落ちた』『スキルの効果範囲が狭くなって爽快感が減った』という理由で,GEから離脱してしまう人も出てくるでしょう。


 関連して,GEにはユーザーごとの格差が開きやすいという話も昔からあります。数字が少し違うだけでもダメージ量が大きく変動しますから,同じスキルが当ったときに一定の水準に満たないと一撃死,逆に一定以上なら簡単に回復できるダメージにしかならないという格差問題が生じています。
 このように全体にワンキルゲーとなっているGEのPvPをどのように改善していくか,温泉座談会では,より具体的に問題点を明らかにし,どう解決するかを発表します。おそらく,これで再びPvPが賑わうようになるはずです」(中尾氏)

 中尾氏が捨てなければと判断した項目の2つめは,「周回プレイ」である。中尾氏自身,MMORPGを遊ぶ時間の捻出が,時期によっては難しくなっており,手動で何度も周回プレイをするのが必然となっているMMORPGの構造自体をしんどく感じているそうだ。

 「誰でも,仕事やなにかしらの事情で生活が忙しくなるタイミングがあります。そんなときは,毎日激しく操作しボスの攻略をするのはつらいですよね。そこで新たに,今まで以上に手軽に楽しめて十分な刺激を得られるようなコンテンツの導入を考えています」(中尾氏)

 そして3つめのポイントは,「キャラクターのステータスが事実上カンストしている点をどうするか」だ。たとえば攻撃速度の向上やクリティカルの発動などは,視覚的にも変化が大きく,プレイヤーにとってキャラの成長をもっとも強く感じられる部分でもあり,ゲームの醍醐味ともいえる要素だ。しかし現状のGEでは,多くのプレイヤーキャラのステータスが上限に達しており,これ以上視覚的に成長を示すような要素がほぼ失われていると,中尾氏は指摘する。

 「現状のままだと,等級や攻撃力が上がっていくだけですから,プレイしていてもあまり成長したと感じられないんです。攻撃速度が上がって,素早い動作でダメージを与えている感覚だったり,こうした成長の感覚をGEに取り戻すにはどうすればいいのか。これは継続してプレイするモチベーションに直結しますから,きっちりと直したいと思っています。あ,言われる前に述べておくと下方修正にはしません」(中尾氏)

 ちなみに,このインタビューを行った時点における温泉座談会へのイベント応募者の内訳は,ガチガチの上級プレイヤーが半数で,GEのビジュアルやストーリーに魅力を感じてまったりプレイしている層が約半分,中にはコスプレを楽しむ層などもいて,非常にバラエティに富んでいるとのこと。中尾氏は座談会にて,さまざまな層からの意見をヒアリングし,GEから何を捨て,どんな改善を施すか考えたいと話していた。

 「最近はGEの企画・運営は松田に任せて,私は新規事業を中心に仕事をしていますが,大型アップデートなどの大きな案件では今後もGEを見ていきますのでよろしくお願いします。温泉座談会では,9周年から10周年を迎えるまでに何をやっていくか新しい意見をいろいろといただきたいと思っています。もちろん,新しい案だけではなく私のほうですでに用意しているアップデート内容にもご意見をください」(中尾氏)

■9周年アップデートは「反省」と「やり直し」,まずは失敗した部分をやり直す

 松田氏からは,9周年アップデートの方針やその意図するところなどを聞いた。松田氏自身は,このタイミングで何よりも「8周年のやり直し」を遂行したいと意気込みを見せる。

 「8周年アップデートでは,『短時間プレイ』と『ソロプレイ』の強化を掲げていました。後者はプレイの選択肢が増える結果となり,やってよかったと思っています。


 ただ,リニューアル後の調整は失敗でした。十分な調整ができなかったと感じています。私自身があまりにコアプレイヤー寄りの考え方をしていたことに理由があるかもしれません」(松田氏)

 コアプレイヤー寄りの考え方で失敗したというのはどういうことだろうか。松田氏は,その結果として,まず,すべてのプレイヤーにプレイ時間に見合った報酬を提供できていないことを挙げる。

 「以前の発表では『時間がなくても放置狩りをすれば結構な報酬が手に入るので,ほかのコンテンツをやらなくとも成長できる』みたいなことを言っていたのですが,実際には上級プレイヤーが放置狩りすれば1億円稼げるのに,下位プレイヤーは千円ぐらいにしかならないといった格差が生まれてしまいました。


 さらに失敗だったのは,手動操作の価値を落としてしまったことです。本来,効率No.1のはずの手動コンテンツよりも,放置狩りがのほう楽でおいしいんです。誰だって楽なほうを選びますから。反比例して,上位のミッションに魅力がなくなってしまいました。
 そこで過去のリニューアルの調整は捨てて,「短時間・ソロ」を全面的に見直します。最上位のコンテンツから初心者向けコンテンツまで全部が対象です」(松田氏)

 また,松田氏は,コアプレイヤー寄りの考え方に起因するもう一つの弊害として,ミッションやメインクエストの難度が高くなってしまったことを挙げる。とくにメインクエストに関しては,ソロプレイでもクリアできることを掲げているため,さまざまな手法で難度を緩和していくとのことだ。

 「たとえばアルモニアのダンジョンは,よく『敵が強すぎる』という指摘を受けるんです。緩和をしてはいたのですが,実際に皆さんが苦労している,『敵の攻撃力が高すぎる』という部分を解決できていませんでした。一口に難度の緩和といってもさまざまな手法がありますけれど,それぞれのコンテンツに合わせた適切な調整を施していきます」(松田氏)

 さらに松田氏は,2014年12月のインタビューにて「コンテンツ量の増加」を宣言し,実際にミッションの追加に努めてきたのだが,その結果,ゲーム内が雑然としてしまい,どこで何をプレイできるのかが分かりにくくなってしまったと語る。

 「頑張ってミッションを作ったんですけど,作りすぎてしまったせいで,どこに何のミッションがあるのか「分かりにくい」状況になってしまいました。


 これは,ゲームを新たに始めた新規プレイヤーや,休眠復帰プレイヤーを混乱させる原因となっています。そこで9周年を期に,誰でも遊びやすくなるような手法を導入します」(松田氏)

 さて,9周年のタイミングでは,現在進行中の「新ヴァイロン」アップデートの第2弾も実装される。ヴァイロンといえば,かつてプレイヤーが宿敵・モントロ子爵と死闘を繰り広げた島だが,今回はそこに隠された真実が明かされていくという。

 「モントロは死してなおヴァイロンに強い影響を与えており,今回展開していくストーリーにもちょくちょく名前が出てきます。またブリスティアの紹介時にでチラッと出てきた女性キャラも,ようやくゲーム内に登場します。

 ここ数年のGEはブリスティアで社会情勢を,アルモニアで精神世界を取り上げてきましたが,新ヴァイロンではこれまでにプレイヤー自身が関わってきた人物達を中心に事件を描いていく展開となります。本国の秘密組織ストゥラータビスタと,その対抗組織のビオラケアの対立が表面化していく流れや,ヴァイロンのシナリオを遊んだプレイヤーが「ここってそういうことだったの?」となるような事実も随所に隠されています。GE史上最もユニークなボスモンスターも登場しますので,ぜひ期待してください」(松田氏)

 松田氏が語った9周年アップデートの具体的な内容は,9周年記念温泉座談会の会場にて発表され,ニコニコ生放送でも公開される。気になるGEプレイヤーは,ぜひチェックしてほしい。


 最後に松田氏から,GEの今後の展開についてあらためて語ってもらったコメントを掲載して本稿の締めとしよう。

 「プレイヤーの皆さんのおかげで,GEもめでたく9周年を迎えることができます。お話ししてきたとおり,私の調整不足により,この1年はご迷惑をお掛けしてしまいました。それでもプレイを続けてくださったプレイヤーさんには感謝の気持ちでいっぱいです。今回の9周年を機会にしっかりと見直しをし,GEを楽しんでいただけるように努力いたします。この夏は,新ヴァイロン,そして9周年記念温泉座談会にて発表する新要素を,ぜひ楽しんでください」(松田氏)

リンク:「グラナド・エスパダ」公式サイト

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記事URL:http://www.4gamer.net/games/013/G001370/20150702076/
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関連タイトル:
・PC グラナド・エスパダ

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