【アテネ時事】ギリシャのチプラス首相が6月下旬、国民投票の実施を唐突に表明した際、財政緊縮策を受け入れるかどうかという重大な決断を国民に丸投げし、首相としての責任を回避したとの批判が国内で高まっている。

 欧州連合(EU)などとの金融支援交渉でギリシャ側責任者を務めたツァカロトス外務副大臣は3日、地元テレビに、EUとギリシャは譲歩を重ね、6月下旬に合意寸前までこぎ着けたと説明。しかし首相は、EUとの合意案が「与党や議会の承認を得られないと判断し、国民投票の実施を決めた」(外務副大臣)という。

 当時、緊縮策の受け入れに傾いた首相に対し、与党内の強硬派からは不満が噴出。議会採決に持ち込めば、造反議員が続出して過半数を失い、首相が退陣を迫られる恐れもあった。しかし、国民投票の結果に基づいて交渉を行えば、「有権者の判断を尊重した」と説明できる。

 EUは国民投票の表明を受けて態度を硬化させ、金融支援を打ち切った。その結果、ギリシャは銀行の営業停止などを余儀なくされ、経済・金融の混乱に拍車が掛かった。