真っ当な「ネイティブ広告」普及の鍵--ソリューション提供者の視点

 日本インタラクティブ広告協会(JIAA、旧インターネット広告推進協議会)が3月に発表したネイティブ広告に関する指針をきっかけとして、広告クレジット表記のない記事広告が一部媒体社と一部代理店間で売買されている事実が表面化した。

 ネイティブ広告は、デザイン、内容、フォーマットが、ウェブサイトやアプリの通常コンテンツの形式やサービスの機能と一体化しているため、視認性が高く、広告効果を向上させられるものとして期待されている。

 一方で、一見して広告であることを判別しにくいこともあり、ともすれば“ステマ”として捉えられやすい側面もある。そのため、事業者はわかりやすい広告表記を心がける必要がある。なお、広告クレジット表記のない広告記事は、消費者に不利益を与えるものとして、景品表示法上の不当表示の問題が生じる可能性が指摘されている。

 日本のインターネット広告費は2014年に1兆円を超えた。モバイルシフトが進むなか、スマートフォンサイトやアプリと相性のよいネイティブ広告は今後これを牽引していくものになり得る。しかし、事業者が広告クレジット表記などのルールを順守せず健全に運用できないとなれば、法規制が入り、その普及が阻まれてしまう恐れがある。

 CNET Japanではこれまで、JIAAの考え一部ウェブメディアの現状識者として山本一郎氏の見識を伝えてきた。今回は、ソリューション提供者側から見たネイティブ広告の現状と課題、米国や英国での状況を、コンテンツレコメンデーションプラットフォーム「Outbrain」を手掛けるアウトブレイン ジャパンの社長である嶋瀬宏氏、アカウントマネージャーの泊寛祐氏に聞いた。なお泊氏はJIAAのネイティブ広告部会に参加し、ネイティブ広告の指針の策定に携わっている。

 Outbrainは、コンテンツを導入しているニュースサイトやオウンドメディアの閲覧者に、おのおのの興味や関心の高いコンテンツを独自のアルゴリズムにもとづいてレコメンドするもの。コンテンツは独自基準を満たしたもののみを配信しているという。米国ニューヨークで2006年に設立。日本法人は2013年11月に設立、2014年4月にサービスを開始した。

――ネイティブ広告の普及を前に、ノンクレジットの広告記事が問題視されている。今後どうなると見ているか。また、米国ではどうか。