各地で万歳「誇りに」=市民ら歓喜の笑顔―ネット中継見守り・世界遺産 | ニコニコニュース

 待ちに待った世界文化遺産登録が実現し、関係する国内各地では市民らが喜び合った。

 幕末に佐賀藩が造った「三重津海軍所跡」がある佐賀市。ドイツでの審議をインターネット中継するパブリックビューイングに約80人の市民らが参加。登録決定の様子が映し出されると、「バンザーイ」と歓喜の声が上がった。保存会の島内敬信会長(66)は「この上ない喜び。保全して後世に語り継いでいきたい」と興奮気味に話した。

 長崎市のグラバー園のパブリックビューイングには市民ら約300人が集まった。同市の小学6年篠崎義史君(11)は「身近に世界遺産があるのは誇り。夏休みの自由研究で調べたい」と笑顔。自営業中尾仁さん(42)は「日本の歴史が世界に認められ、すてきなことだ」と話した。

 三池炭鉱などがある福岡県の県庁舎では、小川洋知事が「これからが新しいスタート。高い志を持った先人たちの思いを次の時代に引き継いでいきたい」と強調。県観光・物産振興課の中島徹也さん(51)は「観光客の受け入れ体制が十分とは言えない。地元と協力し、気を引き締めてやっていければ」と述べた。

 「橋野鉄鉱山・高炉跡」がある岩手県釜石市では、野田武則市長がドイツに派遣した職員からの一報を電話で受け破顔一笑。「復興を目指す市にとって大きな光となる」と力を込めた。高炉を建設し、近代製鉄の父として知られる大島高任のやしゃご大島輝洋さん(67)は「紆余(うよ)曲折を経てやっと登録された」と喜びをにじませた。

 薩摩藩に関する史料などを所蔵する鹿児島市の「尚古集成館」の田村省三館長(61)は16年間にわたり登録推進の取り組みを続けてきた。「登録されほっとした。うれしい気持ちでいっぱい」と感慨深げに話した。パブリックビューイングに来た吉冨キヨ子さん(67)は、「心配していたが、登録されてうれしい。鹿児島に宝物が増えた気分だ」と喜んだ。