改善ムード維持へ妥協=日韓関係、望みつなぐ―世界遺産 | ニコニコニュース

 【ソウル時事】「明治日本の産業革命遺産」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産登録をめぐる日韓の交渉はぎりぎりまで難航した。最終的に決定にこぎ着け、登録への協力で一致した先の日韓外相会談の結果が生かされた。今後の関係改善に望みをつないだ。

 韓国の尹炳世外相は5日夜、ソウルで記者会見し「円満解決」と評価。「韓国の懸念が忠実に反映された形で決定されたことをうれしく思う」と満足感を表明した。

 日韓の詰めの交渉は、世界遺産委員会で韓国代表が行う発言内容などをめぐって難航した。韓国国内ではこの問題をめぐり、外務省の対応が遅れたという批判が強く、韓国はぎりぎりまで強気の対応を継続。この結果、「1940年代に意思に反して韓国人らが動員され、強制的に働かされた」と日本側が発表することで合意。韓国としては、ほぼ望み通りの対応を引き出した。

 尹氏は6月21日、韓国外相として約4年ぶりに訪日し、岸田文雄外相と会談。登録へ協力することで一致した。「政治決着した」(日韓関係筋)と受け止められ、同月22日の国交正常化50周年記念行事に両国首脳が出席したことと合わせ、関係改善ムードを高める大きな要因となった。

 決裂なら、外相訪日の効果は吹き飛んでいた。決裂の責任をめぐって両国が応酬する事態になれば、関係改善の機運に水を差すのは必至だった。こうした危機感が、最終的に両国を妥協に向かわせたとみられる。