LGBT「レインボーフラッグ」から2色が消えた理由

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オリジナルは8色だった!

先日、全米の最高裁で同性婚が合法であるという判決が下り、Facebookのレインボープロフィールをはじめ、全米各地がレインボーに彩られたのは記憶に新しいところ。

英語ではプライドフラッグLGBTフラッグとも呼ばれるこのレインボーフラッグ。現在よく見かけるものは赤、オレンジ、黄、緑、青、紫の6色構成ですよね。でも実はオリジナルは8色だったって知っていました?

先日Refinery 29がレインボーフラッグの生みの親であるギルバート・ベイカーさんを迎えて素晴らしいインタビューを行ないましたが、その中でオリジナルのレインボーフラッグにはピンクとターコイズブルーが入っていて8色だったことが語られています。そして、この2色が使われなくなったのには、意外な理由がありました。


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ベイカーさんはアーティストでありLGBT活動家でもあります。またドラッグクイーンとしても活躍しています。1978年、ベイカーさんはLGBTコミュニティーを象徴する旗を作るように頼まれました。実は当時LGBTコミュニティーのシンボルとして使われていたのは、ピンク・トライアングルでした。これはナイスドイツ時代にホロコーストで強制収容された者に着用が義務付けられていた識別胸章で、男性の同性愛者を表したもの。これを逆手にとって性的少数者の権利やプライドを象徴するシンボルとして使用していたのです。

ベイカーさんはインタビューでこう語っています。「もっと前向きなシンボルが必要だった。僕たちの美しさ、魂、愛を表すような何か。誰かに押しつけられたものではなく、僕たち自身から発したものが」。そして彼がデザインしたのは虹色の旗でした。

次にベイカーさんは自分がデザインした旗を大量生産してくれるメーカーを探しました。メーカーがいうには、ベイカーさんがデザインしたピンクは非常に鮮やかで、旗の色としては需要が少なく大量生産が難しいとのこと。

この事実は数年前のニューヨーク・タイムズ紙の記事でも書かれていました。

ベイカー氏が1979年ゲイ・フリーダム・デー・パレードのために、(フラッグの大量生産を)パラマウント社に打診したとき、パラマウント社からはホットピンクは大量生産できないという返答が来た。ベイカー氏はホットピンクを外すことに決めた。


ではターコイズはなぜ外されたのでしょう? Refinery 29にはターコイズも大量生産が難しかったからと書かれていますが、実はそれだけではないようです。Gay Pride New Orleans’ historyなど多くのソースでは、フラッグが7色から6色になったのはハーヴェイ・ミルク氏の暗殺の影響があるとされています。

ハーヴェイ・ミルク氏はガス・ヴァン・サントが監督した伝記映画「ミルク」でご存知の方も多いかと思いますが、アメリカの政治家であり活動家です。自らゲイであることをカミングアウトし、LGBTだけでなく、有色人種、高齢者、労働者等さまざまな社会的弱者のために精力的に活動しました。1977年にはサンフランシスコの市議会議員にも当選しています。しかし議員に就任して1年にも満たないうちに、同僚によりサンフランシスコ市庁舎内で射殺されてしまいます。

この悲劇の後、1979年のプライドパレード実行委員会はLGBTコミュニティーの結束を強く示す必要性を感じます。そこでミルク氏の活動に敬意を表して、ベイカーさんの旗をパレードで使用することが決定されました。きっとベイカーさんが旗に込めた「多様性を大切にする」という思いが、ミルク氏の生涯をかけた活動を象徴していると判断されたのでしょうね。ただ委員会はその際にターコイズを外しました。その理由は、パレードルートを歩く際に道の両側に3色ずつ等分に配置できるようにするためでした。

Syracuse New Timesでも同様のストーリーが紹介されていますが、こちらでは、サンフランシスコのマーケット・ストリートの柱から旗を縦方向に吊るす際に、真ん中の色がぼやけてしまったため、デザイン的な観点からターコイズが外されたと書かれています。また他にも藍色がロイヤルブルーに変更されるなどの改良が加えられ、現在のデザインに落ち着いたのだそう。

つまりレインボーフラッグの変化には、メーカーの事情やパレードの演出などの意外な理由も関係していたのですね。ただしデザインは変わっても、ミルク氏やベイカー氏の思いやLGBT人権活動の歴史が、レインボーフラッグに込められ、受け継がれていることには変わりありません。


image by Yiorgos GR / Shutterstock.com
source: Refinery 29

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文
(mana yamaguchi)

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