無戸籍の子、全国142人=経済難深刻、未就学は7人―文科省調査 | ニコニコニュース

 文部科学省は8日、出生届が出されていない無戸籍の子供が全国の小中学校で少なくとも142人おり、現在も学校に通っていない1人を含む7人に未就学期間があったと発表した。生活保護に相当する割合は約12%と全児童・生徒の平均の8倍以上で、深刻な経済状態が浮かんだ。

 無戸籍の小中学生の実態調査は初めて。同省は「未把握の子供もいるとみられ、よりきめ細かい支援と調査に努める」としている。

 法務省の集計を基に、全国の教育委員会を通じて今年3月10日時点の状況を調べた。無戸籍は小学生116人、中学生26人。このうち学校に通っていなかった1人は、小学校に入学せず約5年が経過していた。教委などが通学に向け保護者と協議している。過去に未就学だった子供は6人。期間は1カ月から7年半にわたり、うち2人は小学校に全く通わなかった。

 経済的理由で学費などを補助する就学支援を受けている子供は3人に1人。このうち生活保護基準に相当する「要保護」に認定された子供が12.1%、自治体の支援基準に当たる「準要保護」が22.7%で、全国平均の1.5%、14.1%より大幅に多かった。法務省によると、無戸籍の理由は、7割が離婚後300日以内に生まれた子を前夫の子と推定する民法の規定による。文科省は、就学支援を受けている割合が高いことについて「性質上、母子家庭が多いことが原因」と分析した。

 個別のケースでは、育児放棄の疑いや家庭不和、給食費の滞納など養育環境の課題や、「九九ができない」「漢字は読めるが書けない」など学習状況の問題が報告された。文科省は、個別の学習計画作成や関係機関と連携した生活支援など、きめ細い対応を各教委に通知した。