電車内で女性に「放尿させて」AV撮影、男性が「公然わいせつ」容疑で逮捕されたワケ | ニコニコニュース

電車内で女性に「放尿させて」AV撮影、男性が「公然わいせつ」容疑で逮捕されたワケ
弁護士ドットコム

電車内でアダルトビデオ(AV)の撮影をしたとして、福岡県警は6月23日、福岡市のAVメーカーの会社役員の男性と同社の男性社員1人を公然わいせつの疑いで逮捕した。2人は容疑を認めているという。

報道によると、両容疑者は2013年10〜11月にかけて、福岡県内を走行中の西鉄電車内で、公募で集めた23〜28歳の女性3人に、胸や下半身を露出させたり、放尿させたりした疑いがもたれている。

その様子を撮影した映像は「場違い排泄」などのタイトルで、2014年1月にDVDで発売されたが、映像を見た人から西鉄に連絡があり、警察に相談していた。6月23日段階の報道では、女性3人についても、同容疑で任意で取り調べを進めることが報じられている。

今回の事件では、女性3人に露出や放尿をさせた男性2人が、公然わいせつの疑いで逮捕された。わいせつな行為を自らしたのではなく、他人に「させた」場合も、公然わいせつ罪に問われるのだろうのか。松原祥文弁護士に聞いた。

●共同して犯罪を実行したことになる

「たしかに、刑法174条は公然わいせつ罪について、『公然とわいせつな行為をした者』が、6月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料になる、と規定しています」

そうなると、自ら「わいせつな行為」をしていない役員と社員は、公然わいせつ罪にはあたらないのではないか。

「しかし、自らわいせつ行為をしていなくても、共謀して他人にわいせつ行為をさせた場合は、『共同正犯』として、公然わいせつ罪に問われます。

共同正犯とは、2人以上の人が共同して、犯罪を実行した場合をいいます。犯罪行為そのものを実行していなくても、犯行計画の立案に関わっているなど、犯罪を実行するために本質的な寄与をしたと認められる場合、『共同正犯』として、その犯罪全体について責任を問われるのです」

さらに、松原弁護士は「今回の行為は福岡県迷惑防止条例6条(卑わいな行為の禁止)の罪にもあたると思います。こちらも共同正犯として扱われます」と述べる。

「同罪に違反すると、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。これは、公然わいせつ罪(30万円以下の罰金)より重い罰則です。こういった事件は、重い罪で処罰すべきだと思いますので、個人的には、検察官がどちらで処分するのか関心があります」

ところで、今回のニュースでは、電車内で女性に「放尿」をさせたことも話題を集めた。もし放尿をさせて、電車内を汚してしまった場合、別の罪に問われるのだろうか?

「一般人が乗車する電車内を尿で汚すことは、電車の効用を侵害するものとして、器物損壊罪に当たります。ただし、今回の場合は、わいせつ行為の一環であり、これだけを取り出して、検察官が器物損壊罪として処分することはないでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
松原 祥文(まつばら・よしふみ)弁護士
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