報われぬ「朝型勤務」に警鐘 過労自殺遺族、17日に講演

 政府や企業で普及が進み、“健康的”なイメージが強い夏場の「朝型勤務」だが、環境整備の整わない中での拡充に、警鐘を鳴らす過労自殺の遺族がいる。関西在住の女性(45)の夫は10年前、仕事に追われて早出出勤を繰り返し、心を病んで自ら命を絶った。労災は認定されたが、勤務先を相手取った訴訟では早出を個人的な生活スタイルとみなされ、敗訴。女性は17日に大阪市内で講演し、朝型勤務にも弊害がある-と訴える。

 夫は金融機関の融資担当で、管理職を補佐する立場にあった。四国の支店から九州に転勤後の平成17年7月、38歳で自殺した。

 四国勤務時の出社は連日午前6~7時台。難しい融資案件や本店の指示に対応せねばならず、業務が滞っていた。朝食は出勤途中に飲食店に立ち寄るか、職場でサンドイッチをほおばるか。転勤後も上司は残業の抑制を指示しただけで、仕事量を減らすことはなく、効率を上げる具体的な方策も示さなかったという。

 夫は早出出勤を残業として申告していなかったが、女性は弁護士とともに、会社の警備システムが解除された時刻などから、実際の労働時間を割り出した。

 労働基準監督署は19年12月、時間外労働が最長で月109時間に及んでいたとして労災を認定。女性は勤務先を提訴し、1審大阪地裁は25年3月、約9千万円の賠償を命じた。

 ところが…。