現在国会では、与野党が安保法制を巡って論戦を繰り広げている。しかし、当事者となる現役自衛隊員たちが考える争点は別の所にあるという。ジャーナリスト・田上順唯氏がレポートする。

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「危ない場所に出ていくために存在するのが自衛隊です。リスクとは管理するもので、訓練を重ねることで軽減できるのです。命令とあれば実戦でも粛々と任務を遂行する、それだけです」

 ある陸上自衛隊の2曹は、国を守るという自負のもと、自分の置かれた立場についてそのように語った。

「派遣地域の拡大で、自衛隊員のリスクが高まる」5月27日の衆院安保法制特別委員会で、民主党の岡田代表が厳しく指摘すると、安倍首相と中谷防衛相は「隊員にリスクはあるが、できる限り小さくする」と答弁した。

 いま国会で争点になっている「自衛隊員のリスク」を当の自衛隊員たちはすでに見越している。リスクが高まるのなら、そのリスクの中身を見極めて、適切に対処すればいい、と多くの自衛隊員は考えている。

※SAPIO2015年8月号