【北京時事】中国公安当局が9日以降、全国で人権派弁護士やその関係者30人以上を拘束したことが11日分かった。一時的な拘束を含めれば60人以上に達する。弁護士仲間が明らかにした。習近平政権は、法律を武器に横暴な権力に対抗し、社会的弱者の支持を集める人権派弁護士が勢力を拡大させる事態を強く警戒して抑圧を強めているが、これだけ大規模な一斉拘束に踏み切るのは異例だ。

 公安当局は9日に女性弁護士の王宇氏、10日には著名人権派の李和平、周世鋒両弁護士らを相次いで拘束。10日夜から11日未明にかけ、劉暁原、隋牧青、常伯陽、李方平の各氏ら人権問題に積極的に取り組む弁護士が一斉に連行・拘束されたり、行方不明になったりした。中には事情聴取を受けて自宅に戻った弁護士もいる。

 多くの人権派弁護士らは集中的な引き締めに「習政権の唱える『法治』に逆行している」と反発を強めている。2011年2月、チュニジアやエジプトなど「アラブの春」を受けて中国でも「茉莉花(ジャスミン)革命」と称して民主化の呼び掛けが起きた際、多くの人権派弁護士が拘束されたが、今回はその時を上回る規模だ。