山田洋次監督「母と暮せば」万感の長崎ロケ!吉永小百合&二宮和也"親子"も感無量 | ニコニコニュース

長崎ロケに臨む(右から)山田洋次監督、 吉永小百合、黒木華、浅野忠信
映画.com

日本映画界を代表する山田洋次監督の通算84本目となる最新作「母と暮せば」のクライマックスシーンの撮影が7月10日、長崎県長崎市の黒崎教会で行われ、主演の吉永小百合をはじめ共演の二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一らメインキャストが一堂に会した。

この日は、カトリック教会の中を、吉永演じる母親の伸子と二宮扮する息子の浩二が寄り添って歩くラストシーンを撮影した。教会には、親しかった懐かしい人々が勢ぞろいしているという感動的なカット。気温が33度を超える暑さのなか、山田監督の演出も普段以上に熱が入り、現場全体がピリリとした緊張感に包まれた。

今作は、作家・井上ひさし氏が、広島を舞台にした戯曲「父と暮せば」と対になる作品を、長崎を舞台に作りたいと願っていたことを知った山田監督が、終戦70年の節目にあたる今年、松竹120周年記念映画として製作。終戦3年後の長崎に暮らす伸子の前に、原爆で亡くしたはずの息子・浩二が現れる。浩二は元恋人で小学校教師の町子(黒木)を諦められないでいた。母子の奇妙で特別な時間は永遠に続くように見えたが…という設定だ。

山田監督は、「一昨年の春の終わりごろにこの企画にめぐり会って、運命のようだなと思いました」と万感の面持ち。そして、「これは何としても作らなければと思ってから2年の歳月が過ぎて、この長崎の地で主な出演者がみんな集まって、クランクアップを迎えることができ、こういった形で作品を終えることができると思うと『よーい、はい』と言うのもなんだか胸がいっぱいになります。俳優、スタッフみんなに感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。

親子を演じた吉永と二宮は、仲睦まじい様子をにじませる。吉永は「二宮さんとは初めて会ったその日から、もしかしたら本当に自分の息子なんじゃないかと思うくらい、寄り添って演じることができました。かわいい息子です」とニッコリ。一方の二宮も、「本当にとても優しいお母さんで、撮影が終わるたびに『良かったね、良かったね』と言ってくれて、一度撮影が終わった時に抱きしめてくださいました(笑)」と明かし、相思相愛ぶりをうかがわせた。

これには、山田監督も「本当におふたりは、あまーいんですよね。とても甘いトローンとした味が漂っていてね」と笑みを浮かべる。さらに、「小百合さんは浩二役に二宮さんが決まったと聞いたら、何度も良かったと喜んでくれて、いいキャスティングができたというよりは、この2人じゃなかったら成り立っていないんじゃないかと。時として恋人に見えるような甘さ、そういう独特の母子の物語になりえているのではないかと思います」と絶賛してみせた。

4月26日にクランクインした今作は、都内の撮影所を中心に東京近郊、名古屋などでのロケを経て、7月上旬から長崎での撮影に臨んでいる。クランクアップは中旬を予定。「母と暮せば」は、12月12日から全国で公開。