『KAKEXUN』続報、シナスタジア新作情報も飛び出した! 水口哲也×飯田和敏パネルセッションリポート【BitSummit 2015】 | ニコニコニュース

ファミ通.com

文・取材・撮影:ライター 戸塚伎一

●初めての1対1での対談が“BitSummit 2015”で実現

 2015年7月11日、12日の2日間、京都・みやこめっせにて開催中の、インディーゲームの祭典“BitSummit 2015”。11日のメインステージにて行われた、水口哲也氏と飯田和敏氏のパネルセッションの模様をお届けする。

【画像5点】「『KAKEXUN』続報、シナスタジア新作情報も飛び出した! 水口哲也×飯田和敏パネルセッションリポート【BitSummit 2015】」をファミ通.comで読む(※画像などが全てある完全版です)

 プライベートでは20年以上のつき合いながら、1対1で対談する機会は今回が初めてという両氏。冒頭は、ふたりの共通の友人であり、2013年に急逝した飯野賢治氏原案のインディーゲーム『KAKEZUN』の近況について語った。ディレクターを務める飯田氏は、昨年の国内クラウドファンディングの成功と、海外クラウドファンディングの未達成を報告したうえで、完成したばかりという最新のゲーム画面映像を披露した。

 “オンラインマルチプレイの暗算オリンピック”という当初のコンセプトから、ドンカマチック(リズムの基準音)の裏拍に合わせて、点で現された数字を効率よく消していくというリズムゲームライクな仕様に変遷したことに対し、飯田氏は「数字をやめて点にしようとなってから、思いのほか『ReZ』(※水口氏が手掛けた、2001年発売の3Dシューティングゲーム)に似てしまったな、と」と語った。

 中盤以降は、BitSummitの会場でも注目度の高い、VR関連の話題に。水口氏は、「いま出てきているOculusやProject Morpheusは、人間の意識を拡張するのに十分のテクノロジーが備わっている。値段的にも手に入れやすい、VR作品を作りやすいしで、これをみんなが使うようになったら(シーンが)爆発するよね」と絶賛。飯田氏も「いまの流れは、短期的な流行り廃りではない。まずは鴨川のようなロケーションに、VRを使ったチルスポット(安らげる空間)を設けたりして、段階を踏んでいければいいね」と語った。以前より、仮想現実や意識の拡張といったテーマが根底にある作品を数多く手がけていた両氏だけに、昨今のVRを取り巻く流れには、手応えを感じているようで、「僕らが20年かけてやってきたことがこれから実を結ぼうとすることで、話は尽きないですね」(飯田氏)という言葉に、それらが集約されていた。

「いままでみんなが細い線で共有していたものがリニアになって、さらに自由度を持った形で共有されるようになります。これはクリエイターにとってはイマジネーションの挑戦状を叩きつけられているようなもので、こんなにワクワクする話はない」という水口氏。今後の活動に関しては、彼のライフワークであるシナスタジア(共感覚)をVRで展開する新プロジェクトを、今年年末から来年に発表したいとコメントした。また、「若い方のメンタルを取り入れた新しいチームを作りたいと思っているので、いっしょに仕事をしたい人は声をかけてください」と、来場者に向け、“求人募集”を行った。

 飯田氏も『KAKEZUN』を完成させた後に、内容は未定ながら、来年以降、新たなプロジェクトに着手することを宣言。水口氏の「個人的には『アクアノートの休日』をVRでやってほしいよ」という言葉に対しては、「もともと(コンセプトが)VRだし」としたうえで、「やるよ」と当然のように応えた。