田代まさし盗撮再び! 心理学者が語った「盗撮エクスタシー」の深い闇とは? | ニコニコニュース

『審判』著:田代まさし(創出版)
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 紆余曲折を経て、現在は薬物依存者のリハビリ施設であるダルクにて、スタッフとして勤めていた、田代まさし。さまざまな媒体のインタビューでは、更生することを誓い、今後は同じような薬物依存者のケアや支援活動を行っていくことを明かしていた。

 田代が、2度目の懲役から出所して、7月2日で丸1年。自分と向き合いつつ、未来に向けて歩いていたはずだったのだが、10日、東京都が迷惑防止条例違反の疑いで田代を書類送検する方針であることが報じられた。

 報道によれば、田代は今月6日、世田谷区の東急電鉄・二子玉川駅のホームで携帯電話を使い、女性のスカートの中を盗撮した疑いが持たれている。通報により駆けつけた警察官に対し、本人も盗撮行為を認めたという。なお、被害にあった女性はその場から立ち去っており、被害届は出されていない。

 田代は、00年9月に東急東横線都立大学駅構内にて、女性のスカートの中を盗撮しているところを通行人に通報され、逮捕。発覚したのち、報道陣に話した「『ミニにタコができる』という一発ギャグの映像を撮影しようとした」という迷言が生まれた。

 この事件を境に、これまでトップタレントとして確固たる地位を築いていた田代は、坂を転がるように転落していく。01年12月には、男性が入っている風呂場を覗いたとして逮捕。またその2日後には、覚せい剤が自宅から発見され再逮捕された。04年6月には、転回禁止の場所で自動車をUターンさせ、オートバイに乗っている男性と衝突、業務上過失傷害などで逮捕。さらに同年9月には、覚せい剤と刃渡り8cmのバタフライナイフ所持の疑いで捕まった。05年2月に、懲役3年6ヶ月の実刑判決を受け、08年6月に出所。その後はメディア出演などの活動をしていたが、10年9月にコカイン所持、10月には覚せい剤取り締まり法違反の疑いで逮捕され、服役。昨年7月に出所していた。

 これまでの15年で、実に5回の逮捕と2回の懲役刑を受けており、今回で6回目になることも考えられる。田代凋落のきっかけとなったのは、奇しくも今回と同じ"女性のスカートの盗撮"だ。順風満帆だった芸能活動を行っていた田代は、なぜ、このような罪を犯したのか。盗撮行為を「孤独を埋めるために行っていた可能性が高い」と分析するのは、心理学者の富田隆・駒沢女子大学教授だ。

「田代まさしさんは、裸体などをのぞき見ることによって性的快感を得る、一種の窃視症(せっししょう)の可能性があります。これは特に男性なら誰しももっているものです。むしろ異性の裸を見てコーフンしないと困るわけですが、それを法律を犯してまで行ってしまうというのは、強い依存症の傾向があると考えられ、生まれつきの性癖ではないと考えられます。特に今回、田代さんは、自分がやりなれた"イージーな方法"で、またもや道をそれてしまいました。

 薬物依存ケア施設『ダルク』を出た後、彼はインタビューやイベントを多数こなしてきました。とりわけ、田代さんは、毀誉褒貶が激しい人物です。彼の評価はいつも違うし、とりまく状況は常に不安定でしょう。そこで心理的ストレスを蓄積してしまった可能性があります。しかも、自己表現に長ける芸能人はデリケートで傷つきやすい人物が多い。私も田代さんと共演したことがありますが、とても才能豊かな人でした。

 人は誰でも忘我の境地を求めて、性的エクスタシーや、夢中になれるものを探しますが、忘我の境地とは、『他者との分離不安』からくる孤独を埋めるための作業でもあるのです。

 ここからは推測ですが、田代さんは、盗撮すること自体にエクスタシーを感じていたというよりは、そうした危険なことをするために"夢中になって忘我の境地になる"ことが目的だった可能性もあるでしょう。つまり、強い孤独を感じているということです。

『意志が弱い』『誘惑に弱い』と世間では言われるでしょうが、周りの人も気づかないほどの強い孤独を抱え込んでいる可能性がある。まずはそれを少しでも和らげる作業が必要なのではないでしょうか」

 バラエティの帝王とまで呼ばれ、一時期テレビで見ない日はなかったタレント・田代まさし。下着の盗撮から翻弄されることになった彼の人生は、またも同じ道をたどってしまった。彼の孤独を埋めてくれる者は現れるのだろうか。


※『審判』著:田代まさし(創出版)