風力発電全面シフト誓い、発電しすぎて他国へ売電できるうれしい悲鳴が…

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これぞ脱原発のお手本?

自然に優しい再生可能エネルギーへの注目度がこの数年で高まっています。でも、現実的な課題として、そもそも人類は原子力発電や、化石燃料の石油や石炭を燃やす火力発電からさえ脱却することなんてできるのでしょうか?

この素朴な疑問に対して、本気でイエスと答えられることを示そうとしている国がありますよ。総発電量に占める風力発電比率において、世界でもトップレベルの数値を誇るデンマークは、先週ついに初の発電記録を樹立。なんと国全体の風力発電所からの発電量が、国内で風力発電に依存している電力需要の140%を突破! つまり、国内で必要なレベルをはるかに上回る電力が風力発電所から供給されるようになったため、周辺国のドイツ、スウェーデン、ノルウェーへ売電可能になってしまったんだとか。

もちろん、現在もデンマークは火力発電所と風力発電所のハイブリッドな電力供給体制を維持しているため、今回の発電記録が、すぐさま国全体で100%の再生可能エネルギーへの移行実現を意味するわけではありません。とはいえ、すでにデンマークは、今後5年以内に総発電量の半分以上を風力発電のみでまかなえるようにする体制への移行を決定済み。その計画が決して無謀ではないことが示された形ですね。

いずれは世界が再生可能エネルギーのみに100%依存して回るようになるというビジョンが、単なる夢ではないことが示された。風力発電の普及は、二酸化炭素排出量の削減を実現するばかりか、現在でも電力需要が高いときに供給を補う有効な対策となり得る。

デンマークが進める風力発電所からの豊富な電力供給体制の確保について、ヨーロッパ風力協会(EWEA)のOliver Joy氏は、こんなふうにコメントしています。ちなみに、国内需要の140%供給量を記録したときの風力発電所の稼働状態ですが、デンマークの風力発電事業者団体のDWIA(Danish Wind Industry Association)は、全タービンを回転させるフル稼働の状態ではなかったと発表。つまり、まだ余力を残しながら、他国へ売電可能な発電量を記録し続けていることが明らかにされていますよ。

今回の発電記録により、5年以内に総発電量の50%超を再生可能エネルギーでまかなうという目標が、ほぼ確実に達成可能となってきたデンマーク。その次なる目標としては、すでに2050年までに、完全に化石燃料の石油や石炭を用いた火力発電さえ廃止する計画が掲げられています。なお、その計画には、自動車を含む国内のすべての交通手段も、ガソリンをはじめとする一切の化石燃料を使わないクリーンエネルギーへシフトするプランさえ盛り込まれていますよ。この分野でデンマークは世界最先端を突き進んでいきそうな勢いですね~。


Top image via Tumbling Run / Flickr
source: The Guardian

Maddie Stone - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)

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