インテル、ムーアの法則に自ら大ブレーキ…来年も目立った進化はない見込み

150718mooregone.jpg


もうムーアの法則は今後成り立たないの?

コンピューターの目ざましい進化を支えてきた、半導体製造プロセスの向上。現在、インテルによって実用化された最先端技術は、14nmプロセスで製造された「Broadwell」プロセッサーに反映されています。そして、次なる10nm製造プロセスへの移行が待ちに待たれていたのですが……。

このほどインテルは、2015年第2四半期(4~6月期)の決算発表を実施。その会場にて、今後の同社業績の見通しを説明する席で、10nm製造プロセスへの移行が思うように進まないとの方針が明かされてしまいました。2016年中には移行が完了せず、残念ながら、次期「Kaby Lake」プロセッサーは現行の14nmプロセスでの製造を余儀なくされるんだとか。その次に控える「Cannonlake」プロセッサーから、10nmプロセスにて製造されることになるものの、その登場は早くとも2017年後半になってしまうとの見通しのようですよ。

これによって、インテルがこれまで守ってきた、かの有名なムーアの法則は敗れ去ってしまうことが、ほぼ確実となってしまいましたね。半導体チップ上のトランジスタ数は18か月ごとに倍増していくという、インテルのゴードン・ムーア氏によって提唱された同理論。後に24か月ごとの倍増というサイクルにまでペースダウンする調整が図られてはいました。とはいえ、このムーアの法則を維持するには、なんとか来年中に10nmプロセスへの移行が必要だったのに、現時点では非常に困難な状況なのだそうです。

今回の10nm製造プロセスへの移行の遅れを受けて、当のインテルCEOBrian Krzanich氏は、こんなふうにコメントしつつ、ムーアの法則の達成に警鐘を鳴らしています。

2世代におよぶ半導体製造技術のプロセス移行を鑑みるに、現在の発展速度は24か月ではなく30か月というスパンに近づきつつあることが示されている。

実は現行の14nm製造プロセスへの移行段階でも、当初の予定より遅れが生じる事態が発生していました。まだ半導体チップの進化そのものが止まったわけではありませんけど、ついに進化のスピードは、ややスローダウンせざるを得ない限界にまで到達しようとしているのでしょうか?

なお、インテル自らはムーアの法則の開発スピードを遵守できない見込みが高いものの、すでにIBMは、10nmを飛び越えて7nm製造プロセスでのチップ開発の成功を発表済みです。従来のシリコンのみを用いる製造プロセスではなく、シリコンゲルマニウム(SiGe)素材を活用するという裏技ではありますけど、この感じだと、まだまだ7nmプロセスくらいまでは、半導体チップの微細化技術の進歩が止まることなく続いていくのかもしれませんよね~。


source: Intel via Verge and Ars Technica

Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)