JPモルガンハッキング事件の容疑者逮捕。そして背後に大規模サイバー犯罪組織の存在が...?

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真実はこれから明らかになっていくんでしょうか?

2014年秋に8,300万件以上の被害を出したJPモルガン大規模金融ハッキング事件。この思い出したくもない事件が、捜査当局の尽力によってようやく終結するかもしれません。

きっかけとなったのは2つの事件の容疑者。7月21日にイスラエルで、米国で大規模な証券詐欺に関与した疑いで2人の男が逮捕されました。その同じ日に今度はフロリダでビットコインの不正送金で2人の男が捕まりました。

それぞれ別の事件と思いきや、ビットコイン不正送金で逮捕された1人アンソニー・マージオ容疑者は、なんと証券詐欺の首謀者の1人ジョシュア・アーロン容疑者(逃亡中)と10年前にフロリダ州立大学で知り合って以来の友人ということが明らかに!

そして、2人はJPモルガンハッキング事件に関連する証券詐欺への疑いでFBIからマークされていた人物だったのでした。

彼らはオンラインマーケティング会社を共同経営していると自称し、頻繁にロシアを訪問していました。この2人がJPモルガンへのサイバー攻撃があった当日もモスクワに滞在していたようです。さらに関係者の証言によれば、ロシアのサイバー犯罪組織とつながりがあったとも言われています(当の本人たちは口を閉ざしたままですが...)。

今回の証券詐欺は、株の偽情報を流し、株価をつり上げた後で売り逃げる「ポンプ・アンド・ダンプ」と呼ばれる昔からあるタイプのものでした。JPモルガンハッキングの目的も、偽情報のスパムメールを出すためのアドレス収集だと見られています。

また、証券取引委員会が起訴した内容によると、株の不正操作は昨年の事件が起きる前から何度もあり、被害総額は280万ドル(約3億4600万円)以上とのこと。

状況証拠や関係者の証言からすると限りなく黒に見えます。しかし、ロシアの組織が関与している疑いがあるものの、肝心なJPモルガンへのハッキングの証拠は固められていません。また、証券詐欺の中心人物とされているアーロン容疑者は、米国当局の手が届かないロシアに滞在しているので、逮捕ができないという何とも歯がゆい状況なんです。

さすがにチンピラレベルの犯罪とは思いませんでしたが、まさかここまでとは…。


Image by shutterstock
Source: Reuters,Bloomberg

(ギズモード編集部)

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