コンテンツマーケティングで意味を持つ唯一の指標 | TechCrunch Japan

われわれPixableでは ― あらゆるデジタルサイトと同じく ― 人集めゲームを戦っている。われわれは、ユーザーの注目を競い合う何千ものメディア会社の一つであり、当社の場合、若く社会性が高く無限の興味を示す読者の注目を求めている。

言うまでもなく、注目を集めるためには、人目を引く見出しがまず重要だが(実際この記事だけでも3種類の見出しを試した)、本当の難題はこれだ:読者の注目を集めた後、どうやって維持するか?

下に示したのは、コンテンツパブリッシャーとデジタルマーケターを対象とした見出しのテスト結果だ。これを見ると、元の見出しと比べてクリック率が高くなっているのがわかる。変化形2と3は、いずれも原形より有意に良い結果だが、両者間に有意差はないので、単に好きな方を選んだ。Pix-2

もちろん、人目を引く見出しはインターネットのはるか以前から存在しているが、読者の反応を追跡、分析できるようになったことで、今われわれは成功を測るデータを手に入れた。今日の見出し最適化は、情報に埋もれた読者のスクロールやスワイプする手を止めさせクリックさせようとする、アートと科学の混ざり合いだ。

そして、見出しのクリックが今後も重要であることに変わりはないが、読者をページに呼ぶことは始まりにすぎない。読者に最後まで読んだり見たりさせる価値(エンゲージメント)がコンテンツになければ、そのクリックは意味を持たない。

読者のエンゲージメントは、あらゆる近代メディア企業における最重要な測定基準であることは間違いない ― しかしそれは幅広く曖昧な用語でもある。エンゲージメントという言葉は、シェアしたりコメントしたりすることから、サイトの平均滞在時間まであらゆることを意味する。Pixableでは、エンゲージメントを一つの単純な基準に集約した:記事を読み終えた読者の割合 ― 完読率(read-through-rate:RTR)とわれわれは呼んでいる。

考えてみてほしい。魅力的な見出しをクリックすること ― あるいは最初の段落を読むこと ― と、クリックした読者がコンテンツを全部消費することは全く別の話だ。事実、データによると平均的ウェブ記事を最後まで読むのは全読者のわずか15%だ。Pixableでは、60~70%の読者が当社の記事を最後まで読み通している。このことは、われわれの記事が生み出す何千ものシェアやその他のソーシャル行動よりも、誇りに感じている。

当社のデータによると、高い完読率の理由は3つある:

  • 読者の多様な好みを知る(Marketing 101)
  • 説得力のある、視覚に訴える記事を書く
  • テクノロジーとデータを活用して記事と読者を結びつける

(この最後の項目に付け加えるなら、Pixableは18~34の年齢層全体に区別なく利用されており、これが大きな財産であることがわかっているが、その話題は別の機会に)。

完読率はPixableで最も重要な指標だが、これは他のブランドにとっても最重要であるはずだ。成功しているオンライン広告は、バナー広告から創造的ブランド化コンテンツへと移行している。そのためには読者が記事に時間を費やし、メッセージ全体を理解し、ブランドと実際につながる必要がある。これは、読者が3番目の文で何かをクリックして出ていってしまっては起きない。

Facebookもこれに気付いている。今月同社は、読者が記事に費やす時間を考慮に入れる計画を発表した。時間をかけて読んだ記事[と類似の記事]は、注意を払わずスクロールした記事より優先的に表示されるようになる。Facebookは、記事を読むのに費した時間は、いいね!やシェアやコメントの数と同じ、あるいはもっと重要であると信じている。

いずれわれわれは、見せかけの数値ではなく、何が実際に消費されたかに目を向けるべきだ。テクノロジーを通じて、現在われわれは読者/視聴者のパターンを分析することによって、多様な興味に答えつつ、ユーザーにとって魅力あるコンテンツを作ることが可能になった。完読率は単純な測定値だが、会社全体 ― ジャーナリストから営業、マーケティング、CEOまで ― に役立つ重要な指標である。

最終的に自分に問うべき質問はこれだ:自分が作っているコンテンツは、誰かが最後まで読んだり見たりするほど面白いのか? もし答がイエスなら、全員の勝利だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook