完全栄養食を目指すSoylentがバージョン2.0をリリース、今度は最初からドリンク製品で | TechCrunch Japan

食事をそれだけで済ませられる完全栄養ドリンクSoylentが、その製品のニューバージョンを出した。社名と製品名が、人間を原料とする食糧を人間が食べるというSF映画に由来しているが、同社はすでに相当額をVCから投資されている。同社が今朝(米国時間8/3)発表した”Soylent 2.0″は、原料が今回も人間ではなく大豆ベースの菜食食品で、今度は最初からドリンクとして発売された。以前の製品形態は、一食ぶん3ドルの粉末状で、専用のスプーンとかき混ぜ器がついていた。

価格はやや下げられて、400キロカロリー相当が2ドルとなり、月額契約では70ドルだ。炭水化物と各種アミノ酸と蛋白質と各種ビタミンを含む栄養ドリンクと考えればよい。

同社は、スタート時から話題になった。とくに一部の技術者や学生などは、コーディングで忙しいときなどに、食事をこれで済ませることを期待した。

でも同社の製品は、一部の熱心なニッチを超えて一般消費者に広まることはなかった。それは、新奇であるとか、粉末を溶かすのが面倒だからではなく、その、“食べ物をディスラプとする”というマーケティングの姿勢がラジカルすぎたからだ。実際、ファウンダのRob Rhinehart自身も、一ヶ月間Soylentだけを食べて生活したが、その後、ふつうの食品を“食べるレクリエーション(recreational eating)”と称して食事に加えた。今同社の顧客は5万名あまり、と言われており、その中には一回しか買わなかった人たちもいる。

しかし今回、最初からドリンクとして発売されたニューバージョンは、“まったく新しい配合”と称し、体が必要とするビタミンやミネラル、脂肪、炭水化物、蛋白質などを組み合わせている。またターゲットも新たに見なおして、同社のブログによると、食事をファストフードで間に合わせる人たちや、朝食の内容がお粗末な人たちが健康を増進できるための新しい食品、を謳っている。

人間の食事全体をディスラプトする、という最初の姿勢から、お粗末な食事になりがちな人びとのための健康食、という方向転換だ。たしかにこちらは市場も大きいが、ただしEnsure、Boost、Slimfast、Atkins、Special K、Nutrisystemなど、既存のコンペティタも多い。このほか、アスリートのためのプロテインドリンクなど、特殊栄養食とも競合する。

Soylent 2.0は、天然海藻由来の油脂を主なエネルギー源とし、エネルギーの47%が健康的な油脂なのでGI値(血糖値上昇係数)も低い、と主張している。残る33%は消化の遅い炭水化物、20%は蛋白質だそうだ。この配合は、瞬発力よりもむしろ、ゆっくりと持続するエネルギー源をねらっているようだ。

一瓶に人間が一日に必要とする必須ビタミンとミネラルの20%が含まれ、室温で1年もつ。

ただし消費者の手に渡るのはこれからだから、今度の海藻に大きく依存しているニューバージョンのお味はわからない。同社はこれまでにも何度も味や配合を変えており、いちばん最初の粉っぽいような泥っぽいような感じは、なくなっている。初期のテスターたちの反応はまちまちで、いろんな意見がある。Stephen Colbertは、一度試飲したとき、ただちにチョコレートシロップを加えたそうだ。一方The New Yorker誌は、Soylentを”end of food”と呼んだ。

新製品は12パック29ドル(一瓶2ドル42セント)で10月15日に発売される。Ensureはウォルマートで16パック20ドルだから、コンペティタよりも高いが、同社は、砂糖ばっかり多いコンペティタよりも栄養価が高くて健康的だ、と主張している。たしかに、必須栄養素を完備しているコンペティタは、ないようだ。

ただし問題は、今、市販のエナジードリンクなどを飲んでる人たちが、内容に惹かれてSoylentに移行するかどうか、だ。試しに飲んでみる人たちが、どれぐらいいるだろうか。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa