独自動車メーカー連合、ノキアの地図サービス「HERE」を31億ドルで買収。経緯を月9ドラマにたとえて解説

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4月10日にノキアが売却を公表して以来、売却先の予想が散々錯綜していた地図事業「HERE」。この買収劇がついに収束しました。買収したのはダイムラー、BMW、アウディ(フォルクスワーゲン傘下)が参加するドイツの自動車メーカー連合。販売価格は31億ドル(約3,845億円)です。

今回の買収で、グーグルなどが開発する自動運転車に対抗するシステムを、今後ドイツの自動車メーカーが作る準備ができました。経緯が少しややこしいので、月9ドラマにたとえて解説します。

フィンランドの富豪ノキアは、年頃の娘HEREの嫁ぎ先を探していました。この時点でHEREの評価額は約22億ドル(約2,544億円)。嫁入り先候補はUberなどのカーシェアリング企業、ドイツの自動車メーカー御三家(ダイムラー、BMW、アウディ)などでした。政略結婚とはいえ大事な娘、相手は慎重に選びたいところです。

プラチナブロンドの美女HEREの、よく気がつく女子力の高さは、たくさんの男性を魅了しました。何しろ、サムスンもグーグルを振って交際していたくらいですから。

5月24日の報道によると、さらに嫁入り先候補は増えていきます。フェイスブック、アマゾン、アリババ、Baidu(百度)、Sirius XMと、名乗り出るのはハイスペックなイケメンばかり。業種もSNSやEC、放送局と多彩です。何このかぐや姫状態、妬ける。

でも、その時点で一番有力なのは、アップルでした。アップルは「Mapアプリ」にHEREのデータを引用していました。それに、ライバルであるグーグルに対抗するためにも、HEREの技術力はぜひ欲しいところ。この時の予想売却額は32億ドル(約3,815億円)です。

そうこうしているウチに、「俺んとこ、こないか?」と、Uberが壁ドンをしながら名乗りを上げます。提示額は30億ドル(約3,721億円)と新興企業とは思えないほどの太っ腹ぶり。思わず胸きゅん…と思いきや、ここに来て父親のノキアが「やっぱりHEREの売却をやめるかも」とほのめかします。さて、HEREの運命やいかに…?

6月18日、これまで虎視眈々と様子を見ていたドイツの自動車メーカー御三家が一気に動き出しました。それに対してノキアから提示した額は40億ドル(約4,900億円)と強気です。金額はその後交渉があったようですが、結局HEREの嫁ぎ先はそこに決まりましたとさ。

HEREの位置情報は誤差10センチと正確です。それに、スマホアプリと連動してユーザーの行動パターンや、よく寄る場所などを記憶してくれます。これを元に、質の高いナビシステムを作る計画が進められていて、自動車メーカー10社ほどが参加する予定です。

ノキアの方は、今後通信機器事業と、先日発表した360度カメラ「OZO」などの新規事業に集中していきそうですね。


source: Bloomberg,Nokia

(高橋ミレイ)

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