Qt 5.5が新しいGLモジュールを追加,クロスプラットフォームサポートを改善

Qt 5.4のリリースからわずか6ヶ月で,Qt 5.5が,ほぼ1,500件に及ぶ報告済バグの修正と新機能を追加した。Windows 10にも予定どおり対応し,LinuxとOS Xとの互換性も改善されている。

Qt 5.5では次のような新機能が導入された。

  • Bluetooth LE APIが最終版となり,Android, OS X, iOSがサポートされた。
  • Qt Canvas 3Dにより,QtのアプリケーションフレームワークであるQt Quick内からWebGLコードが利用できるようになった。three.jsなどのJavaScriptライブラリと組み合わせて使用することも可能だ。
  • Qt 3D 2.0で,OpenGLのQtでのサポートが改善された。ただし現在はまだ技術プレビューの段階である。Qt 3Dが,Windows上ではOpenGLドライバを直接せずに,DirectX上でOpenGLを提供するエミュレーションレイヤのANGLEに切り替えるようになった。
  • マッピング,ジオコーディング,ルーティングなどをサポートするQt Locationによって,ロケーションを認識するアプリケーションの開発が可能になった。
  • Qt Multimediaに,Linux上でのgstreamer 1.0のサポートが追加された。さらにカメラのサポートや,OpenCLあるいはCUDAといった外部フレームワークとの統合も改善されている。
  • Qt WebEngineがChrominum 40に更新され,ファイルのダウンロードやキャッシュ,クッキー,設定などを管理する新しいAPIが用意された。
  • OS Xサポートが改善された。OpenSSLからAppleのSecure Transportレイヤへの移行,BluetoothとBluetooth LEのサポートの他,多数の修正が行われている。

さらにQt 5.5では,いくつかのモジュールが廃止されて,新しいものに置き換えられている。Qt Webkit, Qt Quick 1, Qt Scriptは,それぞれQtWebEngine, Qt Quick, Qt QMLに置き換えられた。

新しい機能に合わせてライセンスモデルも単純化されて,3つのフレーバーが提供される。

  • Qt for Application Development: フルサポートと柔軟なライセンスを含む商用版。
  • Qt for Device Creation: 組込み機器での利用を意識した商用版。
  • Qt Open Source: LGPLおよびGPLライセンス版。

変更点の全リストはQt wikiで確認できる。