今すぐ「Windows 10」にアップグレードすべき? | ニコニコニュース

Lifehacker

Windows 10がついに登場しました。こちらの記事で便利な新機能の一部をご覧になったり、日常での使い心地についての噂を耳にされた方もいらっしゃるでしょう。でも、この記事を読んでいるあなたは、アップグレードすべきかどうか、ちょうど迷っている真っ最中かもしれませんね。

今回のアップグレードは「無料だし、性能も素晴らしい。結論はわかりきっているじゃないか」という人もいることでしょう。でも、まだ決断していない人は、結論を急がず、別の選択肢はないか探ったほうが良いかもしれません。自分がどのタイプに当てはまるのか、これからいっしょに見ていきましょう。

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ほとんどのユーザーにとって、Windows 10へのアップグレードが無料であることを考えれば、アップグレードすることは確定事項だと考えるのも無理はありません。けれども、焦りは禁物です。米Lifehacker編集部は、過去のOS Xのアップグレードから、必ずしも「無料」=「良い」ではないということを学びました。「今すぐアップグレードを開始」をクリックする前に、今回のアップグレードが自分に適しているのかどうか、もう一度考えてみましょう。

アップグレードの期限に1年の猶予がある

多くの人は「Windows 10がダウンロードされました。今すぐインストールしますか?」というダイアログを見つけたら、すぐにクリックしたくなるかもしれません(すでにクリックした、という人もいるもしれませんね)。あるいは、自分の順番を確実に早める方法はないか、ネットで情報を集めている人もいることでしょう。でも、もしあなたのパソコンが無償アップグレードの対象であるなら、このチャンスを生かす期間は丸1年与えられているということを思い出してください。

つまり、新しいOSをインストールする前にするべきこと(データのバックアップや、ドライバーのアップデート、使っているアプリケーションに互換性があるかどうかの確認など)をまだやっていないなら、時間はまだたっぷりあるということです。また、もしお気に入りのアプリやゲーム、ドライバー、ハードウェアなどがWindows 10では作動しそうになければ、勢いに流されてアップグレードせず、メーカーや開発者の対応を待つのも手です。つまり、タダだから、あるいはパソコン上でインストールパッケージがダブルクリックされるのを待っているからといって、焦ってはいけません。

Windows 10で何か特定のプログラムが「正常に作動しない」という報告はまだ聞いていませんが、だからといって、何も問題はないというわけではありません。たとえ使用頻度の低いツールであっても、アップデートされていなければ、あなたのワークフローを破壊することにもなりかねません。細心の注意を払って、確実に準備を整えましょう。アップグレードを待つ列が長かろうと短かろうと、自分に必要なだけ時間をかけましょう。

今すぐアップグレードしてもいい人たち

コンピューターオタクや新しもの好き、すでにベータ版/プレビュー版を作動させてきたユーザーたちは、躊躇する必要はないでしょう。今すぐにアップグレードしてもらってかまいません。また、このグループには当てはまらないけれども、絶対にWindows 10を入手したほうが良い人たちもいます。そんな人たちを以下のリストにまとめてみました。

Windows 8、8.1のユーザー: 米Lifehackerは時流に乗ってWindows 8に対するヘイトスピーチを行ったことはありませんが、まったく問題はなかったと言うのもフェアではありません。もしWindows 8に何の不満もないのであれば、Windows 10は、ほぼすべての点で良くなっていると言えるでしょう。また、サードパーティーのツールをインストールしなければならなかったWindows 7の機能も一部復活しています。Windows 8ユーザーにとっては、Windows 10は、ユーザーが素直に「これは便利だ」と思える機能が詰め込まれた進化的アップグレードだと言えると思います。先送りにしたほうが良い唯一のWindows 8ユーザーは、『Windows Media Center(WMC)』を購入した(そして使っている)人たちです。Windows 10は『Windows Media Center』をサポートしておらず、アップグレードすれば削除されてしまうからです。

変化を受け入れる用意があるWindows 7ユーザー: Windows 7を使っていて、なおかつWindows 10が提供する一部の新機能に興味があるなら、準備でき次第アップグレードすべきです。Windows 10が提供する新機能、たとえば、デスクトップ上の「Cortana(コルタナ)」や、サードーパーティーツールを使用しない仮想デスクトップ、大幅に改良された「Aeroスナップ」、まったく新しい通知用「アクションセンター」などです。もちろん、Windows 8とともに登場した機能(超高速の起動時間、セキュリティー面の大幅な改善、MicrosoftアカウントやOneDrive、Xboxとのより緊密な統合など)についてもです。使用しているハードウェアやドライバー、PCゲーム、アプリなどはすべて問題なく作動するはずです(繰り返しますが、今のところ米Lifehacker編集部のレーダーには、特定のプログラムがまったく作動しないという情報は引っかかっていません)。なんといっても、Windows 8では有料だったアップグレードが、今回は無料です。ただし、繰り返しますが、アップグレードに伴って『Windows Media Center』は削除されますので、ヘビーユーザーの方はその点を肝に銘じておいてください。

はっきり言いましょう。Windows 10はほとんどのユーザーとほとんどの対応するPCにとって非常に価値のあるアップグレードです。米Lifehacker編集部は、プレビュー版とベータ版で何カ月も前からテストを行ってきました。安定性に関しては盤石と言えるでしょう。

ただ、新しいOSというものは得てしてそうですが、慣れるのに少し時間がかかるでしょうし、馴染みのものはあちこちに散らばってしまいます。機能という点では、それなりに「奇行」や「矛盾」があり、なくなって残念なものもいくつかあります。でも、絶対に避けなければならないほど深刻な問題は見当たりません。

しばらく様子を見たほうがいい人たち

先ほども述べたように、もし無償アップグレードの対象であるなら、決断する前に、「人柱」を観察する時間が1年あります。ただし、2016年7月29日を過ぎれば、有料になります。どのみち、一部の人たちは代金を支払わなければなりません(つまり、VistaとXPのユーザーです)。いずれにせよ、多くの場合、成り行きを見守ったほうが良いでしょう。

疑り深い、あるいは変化を好まないWindows 7ユーザー:頑固なWindows 7ユーザーである、Windows 8が大嫌いである、何にせよ変わることが嫌いだ――このいずれかに該当する場合は、待つのが得策と言えるでしょう。時間をかけていろいろ調べていくうちに「口説き落とされる」かもしれませんが。もし無償アップグレードの対象者であるなら、慎重に事を運び、あとでゆっくり自分のPCをアップグレード/カスタマイズすることができます。自分のいる位置を知り、予習する時間は十分にあります。せっかちな人の出方をうかがってから、決断を下してください。

ソフトウェアのアップデート、新しいドライバー待ちの人: 言うまでもないことかもしれませんが、もし、あなたにとって重要なハードウェアに対して、メーカが最適化あるいはアップデートされたWindows 10対応ドライバーのリリースを予定しているなら、それを手に入れるまでアップグレードは待ってください。また、使用頻度の高いアプリが何らかの理由でWindows 7あるいは8で作動するけれどもWindows 10では問題があるという場合は、開発者がアップデートに着手するまで待ってください。米Lifehacker編集部が知る限りでは、大半の開発者はプレビュー版とベータ版をじっくりと吟味し、アプリやドライバーのテストとアップデートを行っているようですが、たぶん、もたついている業者もいることでしょう。

パッチのリリース、あるいはバグの修正を待ちたい人:中には、ほかのユーザーがバグを報告するかどうか、先に確認したいという人もいるかもしれません。「Microsoftのベータテストなんて受けるな」(ベータ版はもう終了していますから、今回のWindows 10には当てはまりませんが)などという考え方があるのはご存知でしょう。いずれにせよ、もしそうなら、ほかのユーザーに問題の解決をまかせて、パッチやサービスパックが提供されてからインストールを行ってください。たくさんのユーザーが自分たちの仕事に影響を及ぼす欠陥や問題(これらは新しいOSには付きものです)を報告してきましたが、彼らの体験があなたの体験と一致するとは限りません。たとえば、テクノロジー関連のニュースサイト「Ars Technica」は、「Windows 10は過去最高のバージョンだ......バグが修正されれば」と書いています。これは彼らに限った感想ではありません。レビューのほとんど(われわれ編集部も含めて)は、Windows 10は素晴らしく、パッチとアップデートによりさらに良くなるだろうと考えています。アップデートを待ったほうが良いかもしれません

ここまでいろいろお話ししてきましたが、要するに、アップグレードを焦る必要はないということです。Microsoftが、ユーザーが発見したバグなどの問題を解決している間に、成り行きを見守り、パッチがリリースされるのを待ちましょう。

問題といえば、MicrosoftはWindows 10からDVD再生機能を削除しました。アップデートが行われれば、復活するかもしれませんが、米Lifehacker編集部お気に入りのWindows用ビデオプレイヤー、『PotPlayer』と、常に高い信頼性を誇る『VLC』を使えば、うまく問題を解決することができます。『Windows Media Player』が好きという方は、とりあえずアップデートを待ったほうが良いかもしれません。

疑り深い人は、ほかの人のWindows 10体験を様子見してください。あるいは、ほかの人のパソコンで試すか、Microsoft製品の販売店に行って実際に試してみてください。パソコンが古くて今回の無償アップグレードの対象になっていないという人は、慌てる必要はありません。どのみち、Windows 10にお金を払うことになるのですから。

ここまでいろいろ述べてきましたが、誤解しないでください。もしあなたが上記のどれかに当てはまるなら、最終的にはきっとアップグレードしたいと思うでしょう。今すぐではないかもしれませんが...。

アップグレードしなくてもいい人たち

もちろん、これはすべてのOSについて言えることですが、わざわざアップグレードしなくてもいい人もいます。これに該当する人たちをいくつかの簡単なグループに分けることができます。

『Windows Media Center』のヘビーユーザー: 先ほども述べたように、Windows 10は『Windows Media Center』の終焉を意味しています。せっかく購入したのに、それを失うことになります。したがって、使用頻度の高い人は、WMCを追加したWindows 7あるいはWindows 8を手放さないほうが良いかもしれません。もちろん、ほかの選択肢もあります。たとえば、『Kodi』(以前の名称は『XBMC』)や 『Plex』などのメディアプレイヤーです。しかし、どちらもWMCと同じようにはTV放送の視聴などはできません。もしあなたのセットアップがWMC中心に構築されているなら、いろいろ下調べをして、自分の環境にベストな選択肢を選んでから乗り換えたほうが良いでしょう。

Windows Vistaユーザー:Windows Vistaは、Windows 8.1と非常によく似ています。それを取り巻く熱狂が静まり、サービスパックがリリースされるころには、Windows Vistaは非常に信頼できるバージョンになっていました。Vistaユーザーは、パッチやセキュリティーのアップグレードなどのMicrosoftのサポートを2017年まで受けることができます。それに、VistaのシステムがWindows 10の無償アップグレードの対象ではないことを考えると、約120ドル(日本版の価格は1万5000円ほど)を払う代わりに少し待ったほう良いかもしれません。とくに、近い将来、新しいパソコンを買うためにお金を貯めているなら。

Windows XPユーザー:Windows XPをいまだに使っているという方は、きっと何か理由があるのでしょう。さて、XPマシンがWindows 10のシステム要件を満たす保証はないということ、そして、そこに費用が満額かかるということを重ね合わせると、アップグレードしろとはとても言えません。現在も古いハードウェアでXPを動かしているのであれば、新しいパソコンを買うべき時期に差し掛かっています。もしそれが選択肢の中にないなら、ほかに提案をいくつかご用意しています

もちろん、ほかにもうひとつ、きっとWindows 10にアップグレードしたくないだろう人たちのグループがあります。今のOSに十分満足している人たち、元々Windowsを使っていない人たち、あるいはWindowsから卒業するつもりの人たちです。個人的な、あるいは美的な理由から、Windows 7を使っている一部のユーザーは、絶対にアップグレードしないでしょう。同様に、Windowsのここに至るまでの方向性を支持せず、OS XかLinuxに移行するつもりなら、言うまでもなく、Windows 10はあなた向きではありません。

結論:ほぼすべてのユーザーにとって手堅いアップグレード

結局のところWindows 10は、手堅いアップグレードと言えるのではないでしょうか。米Lifehacker編集部は以前から動作確認を行ってきましたが、Windows 8.1とWindows 7に比べても進歩が見られます。

アップグレードは簡単です。Windows 8ユーザーであれば、ほぼ問題はないでしょう。Windows 7ユーザーは、少し時間がかかると思っておいたほうが良いかもしれません(でも、難しくはありません)。作業に急ブレーキをかけるような問題は起きないはずですが、バグなどの異常は発生するかもしれません。もちろん、それでも信用できないと言うのであれば、下調べや実際の操作体験、使っているアプリに基づいて、時間をかけてご自身でアップグレードを決断してください。

「Gizmodo」編集部の友人たちは、Windows 10体験を毎日記録してきました。これは一見の価値ありです。インストールのプロセス日々の使用出くわした問題Windows 10マシンをLANパーティーに持ち込んでのPCゲーム体験などについて論じられています。

Microsoftがプレビュー版とベータ版で早期にWindows 10を利用可能にしたこと、たくさんの人たちがそれに触れてきたこと、こうした要因が大いに役に立っています。そのおかげで私たちユーザーには、微調整し、カスタマイズし、問題を浮き彫りにする時間的余裕が与えられました。たぶん、あなたが遭遇した問題は、誰かほかの人の手で解決されたことでしょう(少なくとも文書化されているはずです)。また、開発者たちは、十分に時間をかけて自社ソフトウェアの出荷を準備することができました。

新しいOSに付きものの諸問題や、数週間後に見ることになるだろう、それらを修正するためのパッチの嵐は別として、今回のアップデートには、驚きは比較的少ないはずです。ただ、いつものことですが、アップグレードの前には、とにかくすべてのデータのバックアップを必ず取っておいてください。

Alan Henry(原文/訳:阪本博希/ガリレオ)
Title illustration by Tina Mailhot-Roberge.