アルバイトの練習を無給でやらせるのはアリ? | ニコニコニュース

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最近では「残業代」ゼロ法案なども話題になっていますが、アルバイトの「業務時間外の拘束」については、法律的にどういう扱いなのでしょうか? 今回は、アルバイトの「練習」に賃金が発生するのか否かについて紹介します。以下、法律に関する身近な話題を弁護士などの専門家が解説するニュースメディア「弁護士ドットコムニュース」のこちらの記事より転載します。

大阪市内にある酒販売チェーン店でアルバイトを始めたというKさんは、「業務のための練習」をめぐって、ちょっとした悩みを抱えている。

その店では、レジでの会計の際、客から「商品を包装して」と頼まれることが非常に多いが、商品をどんな風に包装するかは、酒瓶や箱の種類によっていろいろで、とてもややこしい。そこで、店は従業員に「特別に時間をとって練習する」ことを求めるのだという。

この練習のために、Kさんは「休みの日に顔を出せ」と命じられた。念のため、店の責任者に「タイムカードを押していいんですよね?」と聞いてみると、責任者から「なんできみの練習にうちが金を払わないといけないんだ」と言われたという。

しかし、Kさんは納得できない。休日にわざわざ店に出てくるのに、なぜタイムカードを押せないのか、と。店の責任者とKさん、どちらの言い分が正しいのだろうか。労働問題にくわしい嶋﨑量弁護士に聞いた。

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本当に「自由参加」なのか?

―― 業務のための練習について、どう考えればいいでしょうか?

「労働者が自分の判断で、もっぱら自分自身のためにする練習に対して、お金を支払ってくださいというのは、虫が良い話かもしれません。しかし、会社から『業務命令』を受けてする練習は『仕事』になります。仕事なら当然、その分の報酬を、会社が支払わなくてはなりません」

―― ポイントは「自由参加」かどうかですか?

「そうですね。たとえば、美容師の方は、仕事が終わったあとに店舗で『居残り練習』をするケースがよくあります。カットやパーマの練習は本人の技術向上にも役立ちますし、本当に『自由参加』である限り、仕事ではありません。

大切なのは、本当の意味で『自由参加』であることです。ハッキリと見えなくても何らかの強制があったり、参加しないと不利益があるため居残り練習に参加しないわけにはいかなかったりといった事情がある場合は、本当の意味での『自由参加』ではありません。『業務命令』があったとみなされ、仕事扱いになるでしょう」

―― すると、「包装の練習」はどうですか?

「店側から『休日に職場に来て、包装の練習をしなさい』と言われたなら、それは、明確な業務命令でしょう。業務命令でやっているのであり、『仕事』ですから、給与が支払われるべきです。店側としては、『あくまで自主的な練習だ』といいたいのかもしれませんが、本人が嫌がっているのであれば『自主的』とは言えません。

そもそも、酒を包装する技術は、練習をする本人のためになるというより、店側の都合で必要だという部分が大きいように思えます。そういう意味でも『自主的な練習』というのは相当無理があるケースです」

―― 「そんなこともできないやつが悪い。自主的に練習するのが当然だ」と言われたら?

「そういう店には、『それでは、なぜ包装ができない人を採用したのですか?』と尋ねたいですね。もし『包装できるかどうか』がそこまで重要なら、採用するときにテストして、できない人を採用しなければいいわけです。包装できないことを前提に、賃金も決めているはずです。包装できるかどうかを確かめないで採用したなら、包装のやり方を教えるためのコストぐらいは見込んでおくべきでしょう」

まずは専門家に相談を

―― そんな風に言われたとき、バイトの身としてはどうすれば良いですか?

「現実にはそういった際、泣き寝入りをするケースが非常に多いと思います。対処法はケースバイケースですので、まずは、アルバイトでも入れる労働組合に相談してみては、いかがでしょうか」

―― 辞めてしまうという手もありますか?

「それも一つの手ではありますが、職場の友人関係や、新しい仕事を探す手間を考えると、簡単には辞めたくないケースもあるでしょう。また、単に一人のアルバイトが辞めたところで企業は痛くありませんし、企業側の『やり得』に終わってしまいます」

―― そうすると、職場で声を上げるべきですか?

「職場にとどまって声を上げることは大変な労力が必要ですので、そうしなければいけないとか、声をあげることが簡単だなどというつもりはありません。しかし、すき家のワンオペ問題や、たかの友梨のマタハラ問題など、少数の労働者が上げた声が社会に伝わったことで、事態が大きく動いたケースもあります。

声を上げることは、職場の仲間や後輩のため、真面目にやっている同業他社のため、ひいては社会のためにもなります。声を上げたことを悔やんでいる人を、私は知りません。声を上げた人たちのことを、私たち弁護士も含め、みんなで支えていける社会になってほしいと思います」

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(ライフハッカー[日本版]編集部)
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