ところで「二日酔い」って何? その原因と対処法

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この記事は2013年1月4日公開のものを再掲載しています。

正しく理解すればちょっと楽に。

さーどんどん飲むぞ! と張り切っていた昨夜の元気はどこへやら、今朝はもう歩くのもやっと...なんてこと、あります。そんな二度と会いたくない酒飲みの悪しき友、二日酔いとは一体何なんでしょうか?

二日酔い、それは過剰なアルコールへの人体の反応


アルコールへの耐性は人によって違うんですが、十分な量を飲めば誰しもあの症状に襲われます。頭痛、下痢、吐き気、倦怠感、不安感、震え、憂鬱感などです。飲んだ量が多いほど、また飲んだときに空腹だったり、睡眠不足だったり、踊っていたり(またはロッククライミングとかしていたり)すると、よけいに症状が悪化します。

おしっこのしすぎで脳が縮む


アルコールが血流に入ると、脳下垂体は「バソプレッシン」という体内の水分を保つホルモンの分泌を抑えるようになります。バソプレッシンが少なくなると、水分は膀胱に直接流れこんでいきます。だからお酒を飲んでいて、トイレに行き始めたらどんどん出てくるようになるんです。お酒を飲んでいる間は、体内に取り込む水分の約4倍の水分を失います。つまり脱水症状になり、口がカラカラになったり、頭痛がしたりします。なぜ脱水で頭痛になるかというと、体が水分を欲するあまり脳から水分を取り出そうとするんです。それで脳が縮んでしまい、頭蓋骨と脳をつなげる膜が引っ張られるため痛むんです。

また全体に倦怠感とか脱力感が感じられるのは、おしっこのしすぎで体から塩分やカリウム、マグネシウムといった、神経や筋肉や細胞の通常機能にとって重要な物質が出ていってしまうためです。また、アルコールは肝臓で作られてエネルギー源となるグリコーゲンを分解して排出してしまいます。

毒素生成で気分が悪く


アルコールを消化するとき、肝臓は非常に毒性の強い「アセトアルデヒド」という物質を作り出します。人間にはそれを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素とグルタチオンという物質がありますが、お酒を飲みすぎるとそれらの物質もついていけなくなってしまいます。毒素がどんどんたまり、頭痛や吐き気が強まります。

アセトアルデヒドの毒性がどれほどかというと、アルコール依存症の深刻なケースで使われる「ジスルフィラム」という薬があって、アセトアルデヒドの分解物質を完全にブロックしてしまいます。ジスルフィラムを摂取すると、ほんのちょっとのアルコールでも顔のほてり、頭痛、吐き気、嘔吐、胸痛、脱力感、視界がぼやける、精神的混乱、発汗、むせる、呼吸困難、不安感といった症状が出てきます。つまり、素の状態でアセトアルデヒドにさらされると、人体には強い悪影響が出るんです。

またお酒を飲んでいる間、「グルタミン」が抑制されます。グルタミンは天然の興奮剤で、お酒を飲むのをやめると、体はグルタミン値を回復させようとします。そのため、飲みすぎた夜には眠ってもゆっくり眠れないんです。これはグルタミン・リバウンドと呼ばれ、深刻なケースでは、起きたあとに震え、不安感、高血圧などの症状が見られます。

飲むものによって違う


赤ワインや、ウイスキー、ブランデー、バーボン、テキーラといった濃いお酒は、熟成中に「コンジナー」という不純物を白ワインやラム、ウォッカといった薄い色のお酒より多く生成します。お酒の種類別のコンジナーの含有量がこちらのグラフで見られます。コンジナーは基本的に、二日酔いの症状すべてを悪化させます。

また気付いている人もいるかもしれませんが、炭酸のものを飲むと頭痛がひどくなります。それは、炭酸化によって血液へのアルコールの吸収が促進されるためです。

順番によっても違う


炭酸がアルコールの吸収を促進することから、「リキュールの前にビールは最悪、ビールの前にリキュールならセーフ」というのは一部正解です。ビールの炭酸は、ハードリキュールに切り替えたときにそのアルコールの影響を強めます。なので、「リキュールの前にビールは最悪」は合っています。ただ、「ビールの前にリキュールならセーフ」も本当かというと、こちらはただの願望だと思われます。

また、よく言われることですが「いろんなお酒を一緒に飲んじゃダメ」って言う説は正しいです。いろんな種類のアルコールを一回に混ぜて飲むのは、翌日まともに動きたいときにはおすすめできません。各種のアルコールは違うタイプのコンジナーを含んでいるため、翌日の二日酔いがより強烈になります。

つらさを最小にするには?


二日酔いからの魔法の回復法はありません。迎え酒を飲んでも、酔った状態になることでつらいときが遅れてやってくるだけです。「焦げたトーストが良い」って説もありますが、ただの神話です。

それから「吐くと楽になる」とも言いますが、どうしても吐かざるを得ない場合以外、吐かないほうがいいです。ロッキーマウンテン毒物・薬物センターのキース・ルーシル(Keith Roussil)氏によれば、吐いたとしてもアルコールは血流にすぐに吸収されてしまうので、あまり効果がないそうです。それより吐いたものが気道に詰まってしまうと、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)で死に至るケースもあって危険です。

でも、以下のいくつかの方法で最悪の事態を避けることはできます。

・食べる

飲む前に胃をいっぱいにしておくと、アルコールを吸収して胃の表面を守ってくれます。飲んだあとの朝食として、卵とバナナ、果物ジュースには、二日酔いに効くシステインやカリウム、果糖といった成分が含まれています。スポーツドリンクも、おしっこで失われた電解質や糖分、塩分を取り戻すにはおすすめです。コーヒーを飲みたくなる人もいるかもしれませんが、カフェインには体を脱水させる作用があるので控えたほうがいいです。


・水分を摂る

お酒1杯につきコップ1杯の水を飲みましょう。


・マルチビタミンのサプリを飲む

おしっこのしすぎによるビタミン欠乏を補います。


・お酒の種類を混ぜない

上の「順番によっても違う」の項で書いたとおりです。


・アスピリンを飲む

バファ○ンとかです。寝る前と朝起きたときに水と一緒に飲んで、炎症を抑えます。


というわけで、まだまだ続く酒飲みシーズン、なるべく二日酔いと友達にならないよう、元気に過ごしましょう!


Photo by Thinkstock/Getty Images.

Gizmodo US[原文
(miho)