日中韓、分かり合う未来を=「人つなぐ」友好模索―交流団体創設、学生ら奮闘 | ニコニコニュース

 「東アジアには悲しい歴史がある。隣国の人々をどれほど理解できているだろうか」。戦後70年。日韓や日中関係は時に歴史認識などをめぐり対立し、安倍晋三首相の戦後談話が注目を集める中、学生らが一石を投じようと交流団体を立ち上げ奮闘している。「人と人をつなぐ」を理念に、相互理解による確かな友好関係を模索している。

 団体は、ともに早稲田大4年の在日韓国人3世の李明樹さん(22)、中国人の母を持つ高橋大輔さん(22)が3年前に創設した「ASIANSHIPs」。日中韓交流会などを企画し、出会いを提供している。

 李さんらは自らを「板挟み」と言う。「日本の公立高校に進学した際、いじめられるだろうとびくびくしていたけどミョンスと呼ばれたことがうれしくて。ささいなことから日本への印象が変わり『在日』であることを前向きに考えるようになった」。大学で出会った高橋さんも偏見への悩みは同じで、すぐ意気投合した。

 「友好を築けないか」「糸口は『人』だ」。他大学の友人を誘い6人で始めた活動は共感を呼び、企画メンバーは留学生も含め日中台韓にまたがる48人に。ランチ交流、語学パートナーをつくる企画、討論会…。硬軟織り交ぜたイベントに若者が集う。今年7月には「積極的平和主義と日本外交」をテーマに外務省審議官の講演会を企画し300人以上を集めた。

 メンバーの早稲田大1年の吉永理央さん(18)は「朝鮮大学校での討論会では歴史を大切にしていると感じた。実は戦争や歴史をどう思っているか聞く機会がない」と話す。北京大への留学経験のある高橋さんは「色眼鏡を外し、お互いを知るべきだ。人とのつながりが大きくなれば国同士の関係にも影響するはず」と強調する。

 李さんは韓国に留学中。「韓国の若者の歴史への意識は高い」と感じ、「戦後の日韓関係は負の感情だらけ。普通の大学生がどれだけできるか」と自問する。それでも政治情勢に左右されない友好への「小さな一歩になれば」と強く願う。