レベル5、全域避難も想定=桜島、従来規模上回る噴火で―火道拡大か・気象庁 | ニコニコニュース

 気象庁は15日午後、鹿児島県・桜島でこれまでの規模を上回る噴火が起きた場合、噴火警戒レベルを4(避難準備)からさらに5(避難)に引き上げ、鹿児島市が桜島全域の住民を避難させる事態も想定していることを明らかにした。

 現状では、桜島の対岸に位置する鹿児島市街については、火山灰が降る可能性はあるが、大きな被害が生じることは考えられないという。

 一方、鹿児島市は15日午後、火口南側に位置する有村町と古里町、黒神町の一部地域に出していた避難準備情報を避難勧告に切り替えた。市は同日、島内3カ所に避難所を設置。午後6時10分までに、対象地域の計51世帯77人全員が避難を完了した。避難所には一時最大計38世帯61人が身を寄せた。

 桜島では、昨年9月に長野・岐阜県境の御嶽山で起きたような地下水がマグマに熱せられて起きる水蒸気噴火ではなく、マグマが直接噴出するマグマ噴火が日常的に起きている。

 気象庁の小泉岳司火山対策官によると、桜島の南岳直下で15日午前7時ごろから火山性地震が多発し、山体膨張を示す急激な地殻変動が観測されたのは、海面下4〜6キロにあるマグマだまりからの上昇圧力が高まっているため。「(マグマの通り道である)火道を広げようとして岩石が割れ、地震が起きているのではないか」という。

 気象庁は15日午前、昭和火口や南岳山頂火口から3キロ以内に大きな噴石(直径約50センチ以上)が飛んだり、火砕流が発生したりする恐れがあるとして、警戒レベルを3(入山規制)から4に引き上げた。

 今後は大きな噴石が火口から2.5キロ超飛ぶレベルの噴火が起きた場合、4日に運用を始めた「噴火速報」を初めて発表し、警戒レベルを5に引き上げる。噴火に至らず、火山性地震や山体膨張が一層激しくなった場合も引き上げる。これを受けて鹿児島市が住民避難の範囲を検討し、状況によって桜島全域の避難が必要になる可能性があるという。