カスペルスキーが競合のアンチウイルスソフトを狂わせるウイルス散布? 創業者は否定

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アンチウイルスソフトウェア開発の大手カスペルスキー(本社・モスクワ)が、10年以上に渡って競合をサボタージュしていたと ロイターが報じ、首謀として名指しで報じられたユージン・カスペルスキー共同創業者兼CEOが怒ってます。

元社員2人がロイターに語ったところによると、カスペルスキーはマイクロソフト、AVGテクノロジーズ、アバストなど競合他社のアンチウイルスソフトにフォルスポジティブ(安全なファイルを感染ファイルと誤認すること)を誘発し、安全なファイルを隔離・削除させるプログラムを極秘で開発していたとのことです。

開発のことは社内でもひと握りの人しか知らず、一部の攻撃はユージン・カスペルスキー自身が命じていたそうです。氏は他社が独自技術を開発もしないでカスペルスキーの技術を猿真似していると感じ、報復のつもりで行った、と2人は証言しています。サボタージュ先の選定では市場シェア拡大の目論見も働いていたといいます。

もしそれが本当なら、アンチウイルスソフトの会社がアンチウイルスソフトを阻害するウイルス配って競合のみならず末端のユーザーに迷惑をかけていたことになります。同社はそんな事実はないと、否定しています。以下はユージン・カスペルスキー氏のツイート。


「普段読まないロイターを、たまに読んだらこれ、フォルスポジティブ。こん話はBS(bullsh*t、デタラメ)だ」


これでもまだ足りなくて、氏はブログでも反論を書いてます。

会社に恨みを抱える元社員が会社の悪口を言うのはよくある話だが、今回は作り話もいいところだ。記者にはうまい話でも、それを一片の証拠もなしに「独占スクープ」と報じてしまうのはジャーナリズムとしていかがなものだろう。


ちなみにロイターは、フォルスポジティブ攻撃は断続的に10年以上続き、2009年から2013年がピークだったと書いてますが、氏は「あれはうちもやられた」と反論してます。

2012-2013年、アンチマルウェア業界はフォルスポジティブの深刻な問題に悩まされた。あの時は不幸にも当社も深刻な被害をうけた。調査の結果、業界全体を狙った組織的な攻撃とわかった。何者かが悪玉コードを仕込んだ合法ソフトウェアを配布し、カスペルスキー・ラボをはじめとする企業多数のアンチウイルスエンジンを具体的な攻撃対象として狙っていたのだ。誰が攻撃を仕掛けたのかは今だに謎のままだが、まさか自分だったとは! さすがにそれは考えなかった。この根も葉もない告発には、ただただ驚くばかりだ。


ロイター通信セキュリティ報道担当ジョゼル・メン記者とユージン・カスペルスキー氏(写真)、どっちが嘘をついてるんでしょうね? いずれにせよ、フォルスポジティブ騒動は2013年に終息しています。


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source: ReutersEugene Kaspersky via Venture Beat

(satomi)