安部政権がヒタ走る「戦争ができる国」の危なすぎる目的 | ニコニコニュース

同盟国アメリカとの蜜月を深め軍拡を進める日本。その先には徴兵された民間人が、南方戦線で殉死する未来が待っている!?

他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案を巡って、永田町が揺れている。


「衆院憲法審査会の参考人質疑で、3人の参考人全員が審議中の安保関連法案について"憲法違反"としたのが6月4日。あれからしばらく経ちましたが、安倍政権の意志が揺らぐことはありません」(全国紙政治部デスク)

今国会での法案成立を至上命題とする政府は、6月24日までの通常国会の会期を9月27日まで大幅に延長、与野党の攻防が続いている。


「強引すぎる安保改正だけでなく、安倍政権になってから、防衛に関する法律が次々と可決されています。まるで"戦争ができる国"への道をヒタ走るようですね」(同デスク)

たとえば、2013年11月に成立した日本版NSC、「国家安全保障会議設置法」もそうだ。06年、第1次安倍内閣により、既存の安全保障会議に替えて、国家安全保障会議を創設することが提唱されたが、内閣の退陣で廃案に。しかし、国家安全保障会議設置を選挙公約に盛り込んだ12年の総選挙で、民主党からの政権交代が実現すると、第2次安倍政権において、法案が成立となった。

政治部デスクが続ける。


「同じく13年の12月に成立した特定秘密保護法もそうですね。政府が情報を独占することが可能になり、日本版NSCで、官邸の司令塔機能と米軍との情報共有も強化。さらに、安保改正で集団的自衛権の行使容認となれば、米国主導の戦争へ参加することも、いくらでも可能になるんです」

しかし、なぜ、それほどまでに安保改正を急ぐのか?


「今年4月、安倍首相は日本の総理大臣として初めて、米国連邦議会上下両院の合同会議において演説を行いました。その中で、日米同盟を"希望の同盟"と位置づけ、安保法制を"この夏までに成就させます"と宣言しました。 オバマ大統領をはじめ、世界に向かって"国際公約"をした手前、なんとしても安保法案を成立させたいんです」(民放政治部記者)

まるで、国会を蔑ろにするような約束を口にしたわけだが、


「それもこれも、鳩山民主党政権時代に壊れたアメリカとの関係を修復したいからに他なりません。"国際公約"も、その焦りからでしょう」(同記者)

日本にとって、アメリカとの関係強化は、同時に、東アジアの覇権を狙う中国という仮想敵を抑え込むためのものでもある。


「今年5月、中国が2年ぶりに『国防白書』を発表しましたが、国防白書では、海軍を重視し、東シナ海・南シナ海における中国の海洋進出を念頭に、近隣諸国との『海上軍事闘争および闘争準備を最優先』に備えた政策を進めていくと明記されています」
こう語るのは、軍事ジャーナリストの神浦元彰氏だ。
「中国側が、南沙(スプラトリー)諸島で軍事力を使ってフィリピンの漁業活動を阻止し、人工島を埋め立て・造成していることから米国との摩擦が強まっています。日本にとっても、南シナ海といえば、東アジアと中東を結ぶシーレーン(海上交通路)でもありますし、フィリピン、オーストラリアにとっても、重要なエリアです」(神浦氏)

その南シナ海を巡り、ここ最近、関係各国の連携強化が進んでいる。


5月、日本、米国、オーストラリアの3か国による防衛相会談が開かれ、中国による南シナ海での岩礁の埋め立てに「深刻な懸念」を表明、中国を牽制した。
また、6月には、米太平洋軍のハリー・ハリス司令官が都内で日本メディアと会見、日本の自衛隊が南シナ海で哨戒活動をすることを歓迎するとし、日本の防衛面の役割拡大に期待を表している。
「7月7日から21日には、オーストラリアが米国と続けてきたアジア太平洋地域で最大規模の軍事演習〈タリスマン・セイバー〉が実施されますが、今回は、陸上自衛隊が初めて参加し、上陸や空挺作戦など3万人規模の実戦的訓練を行う予定です」(通信社記者)

中国との緊張関係が高まっているが、日米の理想は実際の戦争ではなく、旧ソ連との間で繰り広げられたような「軍拡競争」にあるとの見方もある。


「南シナ海では日米豪で中国を囲い込む。その緊張関係の中、軍需産業は活発化し、経済的な繁栄の原動力になる。中国の脅威が高まれば高まるほど、日本の軍需産業も潤うことになるわけです」(同記者)

安倍首相が掲げる一連の経済政策――通称、アベノミクス。大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして、規制緩和を"3本の矢"としているが、決して新聞やテレビが報じない"第4の矢"の存在を「軍需産業ではないか」と前出の神浦氏は指摘する。


「オーストラリアへは自衛隊の潜水艦・そうりゅう型を輸出する契約が、フィリピンへは中古の対潜哨戒機・P3Cの輸出と外務省のODAによる弾薬庫建設話も進んでいます。軍需産業は本格的に武器輸出を始めるタイミングを待っているんです」

経済が好調であれば、有権者も安倍政権にNOを突き付けにくく、高支持率をキープ。結果、圧倒的な長期政権が可能になるのだ。


原子爆弾だって問題ではない

では、そうして成立した安倍長期政権が狙う"危なすぎる目的"は何か?


ある政治ジャーナリストは「中国との緊張関係を利用した核武装の可能性」を指摘する。
「安倍首相の祖父である岸信介元首相は、米国に"防衛上、核武装の必要が迫られれば日本は核武装する"と非公式に伝達したこともあるように、核爆弾の開発に執念を燃やしてきた。一方の安倍首相も、02年の官房副長官時代に行った講演の質疑応答において、大陸間弾道弾を作ってもいいのかと問われると、"大陸間弾道弾はですね、憲法上は問題ではない""憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね"と、核武装の可能性を示唆してきた過去がある」

つまり、核兵器を持つ中国との軍拡は、願ってもない口実になるのだ。


「そもそも、今回の安保法案成立自体、憲法改正の布石という捉え方もある。"安保法案は確かに違憲だ。ならば、違憲状態を解消するためには憲法改正しかない"という論法で、改憲を実現するわけです。55年前に安保改定を果たした祖父でも成し得なかった憲法改正が実現すれば、それこそ、核の保有だって可能になります」(前出の全国紙政治部デスク)

とはいえ、実際に戦争の可能性を身近に感じる人はほとんどいないだろう。13年2月の東シナ海における中国海軍艦艇による海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射事件のような突発的な事態があったとしても、関係者でもなければ、そんな現場に自分がいることも想像できないだろう。


だが、軍拡での経済発展を目指す安倍政権の"目的"のために、すでに着々と"手段"の構築が図られているとしたら――。
有事の際に血を流すのは、実は、"徴兵"で派兵されたあなただとしたら――。

その鍵を握るのが、10月に、国民一人一人に12桁の番号の通知が開始される社会保障・税保障制度、通称「マイナンバー制」と、6月に衆院で可決し、9月1日から施行される「改正労働者派遣法案」だ。


「マイナンバー制は税、年金、雇用保険、健康保険、福祉など、今は担当する役所ごとにそれぞれ管理している個人情報について、一元管理するものです。行政機関にとっては、何番の誰が、いくら税金や保険料を払い、どんな社会保障給付を受けているのか、容易に把握できるようになります」(自民党関係者)

その意味では、国民も利便性が向上するだろうが、現実はキナ臭いようだ。立教大学の郭洋春(カクヤンチュン)教授(経済学)が指摘する。


「これまでの安倍政権下で具現化されてきた政策を見る限り、国民の利便性の向上だけとは考えにくい。たとえば、韓国では朝鮮戦争後、韓国住民であることを証明するために、1962年、住民登録番号制度が施行されましたが、国民の利便性だけでなく、徴兵にも利用されています」

しかし、大々的な徴兵制は、さすがに猛反発が予想される。見えない形で徴兵制が行われるのだ。


「有事に必要な人数を考慮すると、自衛隊には数万人が不足しているとされます。そこで、"経済的徴兵"を行うんです」(防衛産業の関係者)
マイナンバー制の運用次第では、身長、体重、奨学金などの借金の金額、性犯罪歴などがすべて把握できる可能性もある。
「自衛隊は性犯罪歴がなく、借金があり、体力的に望ましい若者を常に把握できて、勧誘ができるようになる。実際、米国では、軍に入隊すれば国防総省が奨学金の返済額を全額肩代わりする制度があります」(労働関係に詳しいジャーナリストの小石川シンイチ氏)

若年貧困層を兵士の道に追い立てる"経済的徴兵"は、決して夢物語ではない。


「14年8月、文部科学省は、大学生らの経済支援に関する報告書をまとめたが、その検討過程で、有識者会議メンバーの一人は、卒業後に就職できず、奨学金の返還に苦しむ人たちについて"防衛省でインターンシップ(就業体験)をさせたらどうか"と発言しているんです」(経済誌記者)
戦場に"派遣"される労働力!

低賃金で働かされ続ける"奴隷派遣法"になりかねない「改正労働者派遣法案」も"徴兵"につながる。


「3年の期限が到達した段階で、派遣会社は派遣社員に対して、新しい派遣先を見つけるか、派遣先に直接雇用を申し入れる、あるいは無期雇用に転換するなどの措置が義務付けられています。そのため、"正社員になりやすくなる"などと喧伝されているが、現実には企業は常に若い労働力を求めることから、多くの派遣社員が3年ごとに雇い止めにあい、常に就職活動を余儀なくされかねません」(同記者)

政府は人材の流動性を高めたいというが、その人材は自衛隊にも流れ込むのだ。


「借金があるうえに派遣法で奴隷のように働かされるのであれば、借金がチャラになるかもしれず、"事実上"終身雇用が保障される自衛隊のほうが魅力的に映る人も多いかもしれない」(前出・小石川氏)

さらに、"経済的徴兵"だけでなく、"選抜徴兵制"も導入されかねないと前出の神浦氏は続ける。


「"選抜徴兵制"は米国でも検討されている制度です。ある条件にあった人間だけを徴兵するもので、たとえば、英語、中国語、アラビア語などの語学ができる、大型自動車が運転できるなどの資格を持つ人材を中心に、マイナンバーでリストアップ。その中から、機械的な抽選で徴兵する人間を選ぶんです」

現在は1億"総資格取得"時代、資格を取ることが良しとされているが、資格がきっかけで、思わぬ徴兵をされかねないのだ。


マイナンバー管理下のもと、資格を持つ人間は"選抜徴兵制"で、借金苦に悩む人間は"経済的徴兵制"で"日本軍"として、安保改正で可能となる米軍の戦場に送り込まれ、それ以外の人間は改正派遣法のもと、国内で"奴隷労働"を余儀なくされ、銃後を守ることに――。
安倍政権によって、そんな恐ろしい時代が、近い将来にやってくるのかもしれない……。