「先に相手の体を突く!」フェンシングってどんなスポーツ? | ニコニコニュース

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先日フェンシング日本代表の太田雄貴選手が、世界選手権で日本人初の金メダルを獲得しました。北京オリンピックでも劇的な展開を見せ、大きく注目されましたが、皆さんはこのフェンシングってどんなルールなのかご存じですか?

■フェンシングは有効面を剣で突くスポーツ!

フェンシングは一言で言うと「剣で相手の体を突くスポーツ」です。

元は中世ヨーロッパの騎士たちが行っていた剣術とされており、次第に騎士の剣術から貴族のたしなみになりました。その後19世紀になってスポーツ競技として一般にも定着するようになったといわれています。

さて剣で互いの体を突くフェンシングですが、フェンシングの中でも3つの種目に分かれています。それが「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3つです。それぞれ使用する剣も異なります。試合を見ていると全部一緒に見えるので、実は知らなかったという人も多いでしょう。

それぞれの種目の特徴は以下のようになっています。

●「フルーレ」


「フルーレ」という軽い剣を用いる種目。「突き」だけが有効となり、また突くことで得点になる有効面は「臀部(でんぶ)を除く胴体両面」となっています。

●「エペ」


大きなおわん型の鍔(つば)が装着された、長く重い「エペ」という剣を用いる種目。こちらも「突き」だけが得点となります。有効面は「全身」となっており、非常に慎重な試合展開になることが多い種目です。

●「サーブル」


3つ目は「サーブル」という剣を用いて行われる種目です。得点となる有効面は「腰より上の上半身」となっています。他の2種目と異なり「斬り」も使用可能です。2004年からオリンピックの種目として正式採用されました。

フェンシングはこの3つの種目があります。オリンピックでは3種類全てが正式採用されており、それぞれ個人・団体が行われています。

■よく分からない掛け声は「フランス語」なのです

さて、先ほど3つの種目を紹介しましたが、試合の流れはどの種目も一緒です。フェンシングの基本的なルールを紹介しましょう。

まず出場選手が入場したら、審判による装備のチェックが行われます。このときに違反や異常があればイエローカードが提示されます。イエローカードは2枚提示されるとレッドカードになり、相手に1ポイントが加算されます。

チェックが終われば、主審が「ラッサンブレ・サリューエ」と声を掛けます。これはフランス語で「気を付け 礼」という意味。礼をしたら主審が「アン・ガルド」(用意、または構え)と声を掛けるので選手は面を装着し、構えます。

次に、主審が「エト・ヴ・プレ?」(用意はいいか?)と言うのでOKなら「ウイ」、まだ準備ができていない場合は「ノン」と答えます。両方が「ウイ」と答えたら主審が「アレ!」(始め!)と合図をしてスタートです。

スタートまではこのような流れで行われます。登場する言葉は全てフランス語。他にも用語は全てフランス語です。例えば「突く」という意味の「ファンデヴ」、「一歩前へ」という意味の「マルシェ」などがあります。こうした用語も覚えておけば、より楽しく見られるでしょう。

個人戦の場合は、予選が3分5本先取。決勝トーナメントでは3分3セットで15点先取のゲームを行います。また団体戦は3対3で行われ、3分5本先取のゲームを9試合行います。9試合で45点を先取するか、9試合終了時点でよりポイントの多いチームが勝利となります。

決着がついたら主審が再び「ラッサンブレ・サリューエ」と声を掛けてお互い礼をし、終了。ここまでが一試合の流れです。

■種目によっては好き放題突いては駄目!

フェンシングの少し難しいルールに「攻撃権」というものがあります。これは「フルーレ」と「サーブル」で用いられているものです。何が難しいのかというと、他のスポーツとは違って、攻撃権の移り変わりが分かりにくいということです。

フェンシングの攻撃権は例えば先攻・後攻といったもので分けません。構えてから「先に腕を伸ばし剣先を相手に向けた方」が攻撃権を得られるのです。攻撃された側は攻撃権がないので突き返したりしてはいけません。相手の剣をよけたり、さばいたりして防御に徹します。

攻撃権を持っている側は、自分の攻撃が相手に「払われた」または「間合いから逃げ切られた」場合に攻撃権を失います。すると今度はこちらが防御側となり、同じように相手の剣を払ったり、防御をしないといけません。この素早い切り替えがフェンシングの難しいところでもありますし、面白いところでもあります。

ただし「エペ」においてはこの攻撃権が存在しません。お互いが同時に攻撃してもOKなのです。また前述のとおり、エペは有効面が全身なので、うかつに動くこともできません。そのため緊張感のある試合になることが多いのです。

フェンシングについて、基本的なルールなどを紹介しました。日本はフェンシング強豪国の一つといえます。オリンピックでも注目種目なので、ぜひルールなどをしっかり覚えてから見てみてください!

(中田ボンベ@dcp)