本当に「お金で愛は買える」のか? お金の専門家的が出した結論 | ニコニコニュース

『きょうは会社休みます。(1)』藤村真理 (著)/集英社 (2012/4/25)
ウレぴあ総研

 かつてan・anで特集が組まれ、ときどき女性誌の話題になるテーマに「女性が稼いでお金があれば、愛だけで男性を選ぶことができるのか」というものがあります。

あなたの「愛され度」は何点? 心理学者から学ぶ「男の採点」23項目

フリーランスやアルバイトの男性と、正社員女性(高年収のキャリアウーマンの場合も)の恋愛ストーリーはよくみかけるシチュエーションです。

コミックやドラマでヒットした「きょうは会社休みます。」は学生とOLの恋愛シチュエーションでした。

女性がしっかり働いていることの多い今だからこそ、「男はお金か愛、どちらで選ぶか」という択一ではなく、「自分が稼げばOKなのでは」という視点が出てきています。

でもこれ、実際にうまくいくのかどうか、疑問に思ったことはありませんか。

そこで、お金の専門家であるファイナンシャル・プランナーの目線で考えてみたいと思います。

ポジティブに考える「お金があれば愛は買える」

まず、「お金があれば愛だけ求められる」スタンスについてポジティブに整理するとこういうことです。

1. 男が年収が高くて、女性がその下というルールはない

……カップルができたとき、どちらかの年収が高いのは当たり前です。それが女性であることは何もおかしいことではありません。
そもそも男性のほうが高いのが当然という発想自体がおかしいのです。

2. 対等なつきあいができる

……年収差が大きいと、どうしても女性のほうが「支えてもらう」という感覚になってしまいます。
年収差があまりない、あるいは女性のほうが高いのであれば、意識のうえでも対等につきあいやすくなります。

3. 自分の欲しいものを自分の年収から堂々と買える

……自分の年収がしっかりある分、交際期間中も結婚後も、自分の欲しいものを自分の収入から買うことができます。
伊勢丹の夏バーゲンで10万円使おうと、彼に請求するわけではないから堂々と買い物ができます。むしろ仕事にがんばったご褒美です。

4. 彼が子育てや家事が好きなら「専業主夫」になってもいい

……結婚後子育てをスタートしたとき、女性が専業主婦になったり、時短勤務しなければならないというルールもありません。
男性のほうが子育て好きで家事や食事づくりが好きなら、夫のほうを時短勤務(つまり年収減)にしてもらったり、専業主夫になってもらってもいいはずです。

5. もしも別れたとしても、経済的な苦労をせずにすむ

……自分の稼ぎがしっかりある、ということは、別れのときがきても対等でいられる、ということです。「別れたいけど、ひとりで暮らしていけないから別れられない」という思いをせずにすみます。これは結婚前でも結婚後でも当てはまります。

「お金」視点で考えると、実際は…

「お金」の観点から“疑って”みると、実際は…!?

しかし、マネープラン上は「お金があれば愛は買える」について賛成できない部分があります。ポイントをまとめてみましょう。

△子育て時の女性の年収はどうしても減るが、専業主夫がそのときだけ稼げるとは限らない

……どんなに女性が稼ぐことができたとしても、結婚後の子育てについては難しさがあります。妊娠期間中は体調によっては勤務時間を抑えざるをえないことがありますし、出産前後は必ず休まざるをえません。

産休~育休のあいだは月収の3分の2ほどの手当がありとても助かりますが(育休半年後からは2分の1)、やはり収入は下がってしまいます。
男性がそのときだけいきなり収入アップすることは難しいはずです。

妊娠前に貯蓄をしっかりしておいたり、共働きで年収を高めておき、一時的な年収減に備えるような準備が必要です。

△共働きで合計年収を増やすことを意識することのほうが効果的

……男性のほうが年収が低くても、男性には働いてもらうことのほうがマネープランを考えたときは大事です。

もし、女性の稼ぎだけでふたりの生活費を維持できるのであれば、男性の稼ぎをすべて貯金することもできるはずです。どんどん貯金することができれば、将来の備えをハイペースで進め、未来も豊かにすることができます。

家を買えば男性の稼ぎからどんどん返済していくこともできます。先ほど説明したような妊娠~産休~育休期間の年収減にも備えることができます。

△自分より年収が低い彼氏、夫に敬意を払える関係をキープできるか

……これはお金の話がカップルや夫婦の関係性にも影響する、という問題です。
最初は「お金があれば、愛だけで相手を選ぶ」だったかもしれませんが、「自分はお金が稼げているが、彼は結局のところ稼ぐ能力がない人」という優越意識に化けてしまう可能性をゼロにすることはできません。

男性が「専業主婦である妻は要するに稼ぎゼロでオレが支えているのだ」という優越意識を持つのはよくないように(家庭内の役割分担にすぎない)、稼げる女性も男性を見下すようでは恋愛関係は長続きしないでしょう。

これは男性においても答えのない悩みですが、女性も自分なりの答えを探してみてください。

お金の専門家が出した結論は!?

まとめ:「お金で愛のすべては買えない」

女性が「お金の面は私が全部支えてあげる」は、時期によってあってもいいと思います。しかし永遠のものとして考えないほうがいい、というのが私の意見です。

あるカップルは夫の失職(会社が倒産した)したタイミングで、子どもが生まれたばかりの妻は3カ月で復職し家計を支えていました。
夫は専業主夫としてすべての育児・家事を担当したそうです。

しかし5年後に妻が体調を崩したときは契約社員になって仕事を減らし子育て中心の生活にシフト、再就職に成功した夫の稼ぎで家計を支えるようなバトンタッチをしています。

これはどちらかが一方的に支えるのではなく、お金の面で支えられる側が支えられるときに仕事をした、という例です。結婚後のカップルのエピソードですが、女性が働いていたことで「お金で愛が買えた(失われずにすんだ)」例だと思います。

「お金で愛を買う」ということを永遠のものと考えないことが大切です。

男性が「お金で女性の歓心を買う」としてもしょせんは一時的なものでしかないのと同じです。

お金「だけ」で永遠の愛は買えないのです。

また、ずっと「私が全部面倒見るから」にすると、これは精神的にしんどいことになります。
メンタルストレスで仕事をセーブせざるを得なくなり、年収も減ったら、彼氏にも出て行かれた、となっては本末転倒です。
無理をして抱え込まないようにしたいものです。

でも、もしそんな辛いときになっても、あなたを支えてくれる相手であったら、その彼氏(夫)はもうお金で愛を買った関係ではありません。

そんな相手が見つかったとしたら、たとえお金の力がつきあい始めの入り口であったとしても、「純粋に愛を見つけた」といえるかもしれませんね。