誰も知らなかった戦争体験『特攻隊と初体験』 | ニコニコニュース

誰も知らなかった戦争体験『特攻隊と初体験』
バイレーツ

戦後70年。

戦争の記憶は風化していき、戦争体験者の方も亡くなっていきます。

戦争の記憶を次世代につないでいくために、「誰も知らなかった戦争体験」をシリーズでご紹介させていただきます。

それぞれの体験、それぞれの記憶・・・。


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特攻隊の基地のそばには急場で飯屋ができた。そこでは特別に配給された食事が出され、酒も出た。

そこには酌婦(しゃくふ)と娼妓(しょうぎ)が呼ばれていて、20歳そこそこのまだ女性を知らない童貞隊員たちの相手をする。

もちろん非公式で記録は残っていない。そもそもそこへ行った隊員たちは皆特攻に出撃して死んでしまうのだから誰も知らない。

しかし、そういうのが苦手な隊員もいたらしい。そこから逃げ出した隊員が他の隊員が宴会に明け暮れている間、草むらなどで見つからぬよう時間をつぶしている。

そんなときに、その隊員と仲良くなったのが、1983年、ホテルから「オヤジ、涅槃(ねはん)で待つ」と遺言を残し、投身自殺した俳優・沖雅也の養父であり、晩年美少年評論家になったH景T男である。

H景は隊員と仲良くなると、いつしか草むらで悪戯されるようになった。そうして初体験。彼がそちらへ目覚めた瞬間である。

「もー、いーじゃないですかっ!」という口癖はこのときが最初。

隊員はあくる日、南の海へ飛び立った。

※2001年4月、H景T男さん経営の新宿2丁目喫茶店にて聴いた話。

(文:木之下秀彦)