北朝鮮軍、拡声器を砲撃=48時間以内の放送中止要求―韓国軍、数十発で応戦

 【ソウル時事】韓国軍合同参謀本部報道官によると、北朝鮮軍は20日午後、軍事境界線に近い韓国の京畿道漣川郡に2回にわたり砲弾を撃ち込んだ。韓国軍が宣伝放送に使う拡声器を狙ったとみられる。

 これに対し、韓国軍は北朝鮮のロケット砲発射地点周辺に向けて、155ミリ砲数十発による砲撃で応戦した。

 北朝鮮軍は同日夕、韓国国防省に通知文を送り、48時間以内に北朝鮮に対する宣伝放送の中止と拡声器の撤去に応じなければ軍事行動に出ると警告。砲撃が放送を中止に追い込むための威嚇の一環であることを裏付けた。

 北朝鮮の金養建労働党書記(統一戦線部長)も、韓国大統領府の金寛鎮国家安保室長に書簡を送り、韓国側の放送を「宣戦布告」と非難、中止を求めた。

 漣川郡の住民らに被害はなかったが、周辺地域の住民に退避命令が出された。韓国の朴槿恵大統領は国家安全保障会議(NSC)常任委員会を緊急招集し、北朝鮮の挑発に対して「断固たる対応を取る」と強調。軍は最高度の警戒態勢を敷いた。