1959年に描かれた未来は、2015年の我々にとってもまだまだ未来である

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「未来」とは、時におとぎ話のようなものでして。

つい先日、国際宇宙ステーションで栽培された宇宙産レタスの初試食が行なわれました。宇宙でフレッシュな野菜を育てて食べる、これは宇宙へ進出するための大きな1歩です。いつか火星へ移住するかもしれない未来のために奮闘する現代の私たち。では、私たちの「現代」は、かつて描かれた「未来」にどれほど近づいているのでしょう。

1959年5月10日発行のコミック「Closer Than We Think」では、宇宙ファームという「未来」が描かれています。その「未来」では、スペースファーマーが農業専門の星(もしくは惑星間に浮かぶステーション)でたくさんの農作物を作り、地球を含む他の星に植物を輸出(?)しているのです。宇宙旅行の途中にちょっと立ち寄って、フレッシュなお野菜を手に入れるなんてこともあります。

「Closer Than We Think」の作者であるArthur Radebaugh氏は、農業は地球ではなく宇宙で行なうことになるという未来を描きました。彼曰く、ライターのFrank Tinsley氏が、未来では惑星間の中継地点のような農場で野菜みたいな新たな作物を育てているかもと語ったのだそう。この「未来」は、コミック発行から56年たった2015年でもまだ現実になることなく、今なお描き続けている「未来」の姿です。宇宙レタス初試食で、ようやくそのとっかかりが見えてきたというところ。ただ、あの頃描かれたSF世界のような未来ではなく、実現を視野にいれた未来になってきてはいますけれど。

未来の食べ物といえば、2通り想像できます。1つは実にSFチックなカプセルタイプの食事。野菜や米を食べるのではなく、計算された栄養素がはいったカプセルを飲むことが食事となるというもの。もう1つは、このコミックにあるように宇宙のどこかの地球みたいな環境の星を、農業専用の宇宙ファーム星として、そこで農作物を育てるというもの。現代の我々は、この両方どちらの道も模索中というところでしょうか。パウダーフードの出現に、宇宙レタスやラボミートの試食とね。

「未来」はいったいいつになったら「現代」になるのでしょう。少なくとも、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で描かれた未来の世界には間に合いませんでした。ドラえもんの世界は間に合うのでしょうか。未来とは、フィクションと理想と夢が詰まった姿ですから、実現はそりゃ難しい話です。


Matt Novak - Gizmodo Pale of Future[原文
(そうこ)

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