途上国の水問題は「本を飲んで」解決しそうだ

150824drinkablebook.jpg


「常識は疑え」とはいうけれど、本は読み物、水は飲み物。まさか本が飲み物になるだなんて...。

常識を覆すような独創的なアイデア、飲める本の生みの親の一員はTheresa Dankovich氏。

マギル大学物質科学博士課程だった当時、寝る間も惜しんで研究に取り組んでいた彼女はある重要な発見をしました。それは、ティッシュペーパーの薄さのシートに銀ナノ粒子を付着させることが、いとも簡単であるということ。

ほとんどの細菌、極小サイズのウイルスでさえ破滅させることができる銀ナノ粒子。これを付着させた超薄型フィルターは水の濾過に利用されることとなります。

学位取得後、UVA(バージニア大学)Centre for Global Healthをベースに移したDankovich氏は、ナノ粒子を利用した水濾過装置の改良を続けながら、南アフリカやケニアでのフィールドトライアルを始めています。

衛生的な水の確保に苦戦している地域で、このフィルターが"本物の水"として機能するのか確かめたい、と自身の研究についてLive Mintで語っています。

「ある日、軽く汚染されていた用水路の水を濾過していると、近くのワーカーたちに、次は小学校隣の下水に取り組むよう頼まれたの。もう本当に多くのバクテリアが見つかって...あれは1番チャレンジングなサンプルだった。でも、どんなに汚染された水であっても、銀/銅ナノ粒子ペーパーがあれば99.9%の純度を達成できて、バクテリアの数もアメリカの飲料水の基準値を守れるのよ。」

さて、彼女の熱心な研究態度に心を奪われつつも、これが飲める本にどう結びつくのか。...これがまた、テクノロジーの活かし方が非常に上手いのです。

ナノ粒子によってコーティングされた薄いフィルターは本のページとなり、2つ以上の言語で安全な水の知識についてプリントされます。優れたテクノロジーに教育の要素が加わって、水が原因となって起きる感染症の予防に繋がるという...なんともスマートなアイデア。

ちなみに飲める本1冊で、100リットル(1人が必要とする水の量4年分に相当)の飲用水をフィルタリングできるのだとか。

現在、Dankovich氏は発展途上国向けに大量生産を始めるべく、Indiegogo campaign (インディエゴーゴー・キャンペーン)というプロジェクトを走らせているようです。ゴーゴー飲める本!!


source: Live Mint

Maddie Stone - GIZMODO US[原文
(Rina Fukazu)