「嘘」を見破る9つの兆候観察 | ニコニコニュース

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■独創的な嘘つきなどいない

たとえばメールの返信をうっかり失念してしまったときは「スパムメールに入ってしまった」、遅刻をしたら「道が混んでいて」……。よくある本当の理由でありつつ、よく使われる嘘でもある。

嘘についての研究で、パメラ・メイヤー氏はこんなことを言っている。

「研究によると私たちは毎日10回から200回嘘をつかれています。嘘の多くは罪のないものです。別の研究では、初めて会う人同士は最初の10分で3回嘘をつくという結果も出ています」

誰でも、嘘のひとつやふたつはついたことはあるだろう。人に言えないことや、あるいはすでに覚えてすらいないこともあるかもしれない。どこまでを“嘘”ととらえるかにもよるが、気持ちを隠す、平静を装うなども含めると、前述のようなデータもあるようだ。これこそ「うそだ」と言いたくなるようなデータながら、特に初対面同士では、眉に唾をつけて心してかかることも必要かもしれない。

人が嘘をつくのは、いったいどんなときだろう?

多くは自分の身を守るため。日常的には、遅刻をした、物をなくした、など些細なことで咎めを受けるのを避けたいときだ。浮気をしてしまったけれど、あくまでも隠し通すほうが彼女のため、家族に病気を知らせたくない……など、大切な人を傷つけたくないときもあるだろう。今をやりすごせば、もしかしたら事態は好転しそうだ……など、現実を受け入れきれないときもあるかもしれない。誰かをだまそうというよりも、何かしら大義のためにしていることも多そうだ。

嘘の傾向をまとめてみると、私たちは職場の同僚より見知らぬ人により嘘をつき、 外向型の人は内向型の人よりもより嘘をつく傾向が高いという。男性は他人のことより自分のことについて8倍嘘をつき、女性は他の人を守るためにより嘘をつく傾向にある。平均的な夫婦なら10回の会話で1回は嘘をつき、 独身なら3回に1回と増えるそうだ。

パメラ・メイヤー氏は「独創的な嘘つきはいません」と言う。実は、嘘をつくときには誰もが同じようなテクニックを使ってしまうのである。つまり、その所作を知れば、嘘は簡単に見抜けることになる。まずは、嘘のパターンを見てみよう。

■使うのは、みな同じテクニック

メイヤー氏は、ビル・クリントンがモニカ・ルインスキーとの関係を否定する会見の映像を例に取っていた。たとえば英語で否定の際にはdidn’tと省略形を使うものを、did notとやや「形式ばった言い方」をしている。これは、否定しようと意気込んでいるからだ。さらに“あの女性”という「距離を置く言葉」を使っている。嘘をつくとき、人は無意識に嘘の対象について距離を置く言葉を使おうとし、必要以上の詳細な説明をする。そして「本当のことを言うと」「率直に言って」など表現で信憑性を高めようとする。ところがこうした表現は、むしろ話の信憑性を低くするという。

嘘のテクニックをまとめると、こんな傾向が見られそうだ。

・否定を強調するために、形式ばった表現を使う。
・嘘の対象と距離を置く言葉を使う。
・「率直に言って」など信憑性を高めるための修飾が多く見られる。
・必要以上に細かいことを説明したがる。

言葉尻を見ていくと、嘘である兆候がそこかしこに現われる。何か言い訳をしているときには、ここからすぐに見破れるだろう。では、身振りや表情はどうだろうか。

■上半身は動かさず目線もそらさない

嘘をついている人は、そわそわするとされる。その場を逃げ出したいから自然と体が動いてしまうからだ。ところが、実は嘘をついているときには上半身をあまり動かさないまま、上半身とは逆に足は相手からそれて、出口に向かっていることも多い。そして、目を見ないと思われているがために、むしろそれを逆手にとって余計に長く目を見つめる行為に出る。そのわりに、ふと目をふせるぎこちない動きはあるようだ。

隠せないのは落ち着きのない指先の動き、それから言葉と身振りの不一致だ。肯定しているのに、自然と首をよこに降ってしまうなど、無意識に本心が現れるため、行動と言葉が一致しない。そして、笑顔で口角はあがっているのに、目じりにシワができにくいという“目が笑っていない”状態になる。こうして、話されている言葉としぐさの不一致を見つけることで嘘を見抜きやすくなる。

さらに、嘘だろうと疑っている人と話すときには、相手も用心をする。たとえば嘘つきはまばたきの回数を変えるという。回数が多くなるとは限らず、じっと見開くこともある。話の聞き手との間に物をおいて垣根をつくりたがり、声のトーンを変えて低い声を出そうとする。よく見ていると「あれ?」と感じられる動きをまとめると、こうだ。

・言っていることと行動が一致しない。
・笑っていても、目じりのシワが出にくい。
・まばたきの様子が普段と違う。
・相手との間にバッグなどで垣根をつくりたがる。
・声のトーンが低くなる。

これらは単にしぐさにすぎず、嘘の証拠ではない。ただ、いくつもあったら注意が必要だというにすぎない。それでも、部下のウソ、パートナーの言い訳など、見抜きたいときにはおおいに役に立ちそうだ。

最後に、相手の嘘を見破り真実を聞き出したいときに必要なのは……、攻撃的にならずじっくり聞くこと。取り乱したりしてはいけない。よく見聞きして、探って、少し難しい質問を投げて相手を考えさせること。そのためには、ゆったりとくつろいだ雰囲気をつくり出し、相手の心を解きほぐし、興味を惹かれた感じであれこれ聞いていくことだ。これで、前述のような言動を誘い、本音や隠れていた真実を導き出しやすくなる。

今は、ブログやSNSですべてを公開しているがために、むしろ真実が見えにくいと感じる方もいるだろう。取引先、仕事相手、異業種交流会で出会った人……。多くの人にプライベートも筒抜けであるがゆえに、逆にリアルなのか虚構なのかわからなくなる。表面的な付き合いでは、嘘か真か知らないままでいいのかもしれない。

いざ深くかかわっていくときには、真実を見抜く力だけは持ち合わせたい。そして矛盾するものの、自分がパートナーなどをごまかすときだけは、嘘と見抜かれないように細心の注意を払いたい。

言動の一致や指先の動きに気を付けて、それから余計なことを説明しすぎずに。

[脚注・参考資料]
Pamela Meyer, How to spot a liar, TED Global 2011, Filmed Jul 201
http://www.ted.com/talks/pamela_meyer_how_to_spot_a_liar