旅行から帰ってきたら団地が消えていた!? 住民の留守中に勝手に家を破壊する、中国地上げ屋“トンデモ”新手法 | ニコニコニュース

出張中に取り壊された浙江省紹興市の男性の自宅跡
日刊サイゾー

 不動産バブル崩壊の足音が近づく一方、今でも中国各地の再開発地域では、住民たちに立ち退きを迫る地上げ行為と、それに対抗する「釘子戸(釘の家)」と呼ばれる現地住民との激しいバトルが展開されている。

 そんな中、地上げ屋たちが導入した新手法が話題となっている。

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 8月11日、河南省開封市の女性が子どもとの楽しい旅行を終えて帰ってくると、なんと自宅の団地が消えていた。かつて団地が建っていた場所には、がれきと化した家具が無残に積まれていたという。

 女性の話によると、団地付近では再開発工事が進んでおり、今年の初め、立ち退きの相談に何度か訪ねて来た人物がいたという。ところが、彼女は立ち退きにも同意することはなかった。団地のほかの住民たちも、取り壊しに関する通知を受けておらず、今でも誰が取り壊したかすらわからないという。

 また16日には、紹興酒で有名な浙江省紹興市の村に住む男性が、出張している間に「あなたの家が取り壊されている」と連絡を受けた。急いで戻ってみると、2階建て250平米の一軒家が無残にも廃墟と化していた。同村では、今年3月から住民の立ち退きと、家屋の取り壊し作業が徐々に始まっていた。

 彼は立ち退きの同意書にサインしていなかったというが、近所の取り壊しが進み危険を感じたため、家族を別の場所へ引っ越しさせていたという。

 男性は、同意のない取り壊しを実行した業者を追及。すると、業者側は「そんな業務命令はしていない。間違って壊してしまった」と、故意ではないことを主張したという。彼の怒りは収まらないが、壊れた家を建て直すわけにもいかず、仕方なく示談を進めているという。

 このほか、暴力や恐喝によるものを含め、住民たちの意に反する立ち退きや強制取り壊しは中国全土で日常茶飯事となっている。だが、中国では不動産の過剰供給により、都市部住宅の5分の1以上が空室となっているのが現状だ。無理やり住み慣れた家を奪われた挙げ句、その場所に鬼城(ゴーストタウン)が形成されるとしたら、住民はさぞかしやりきれなかろう……。