女性30人に子ども80人を生ませたカルト教祖!! 自分だけのハーレムを作り上げた手口とは?=イスラエル | ニコニコニュース

※画像は「BBC」の記事より引用
TOCANA

 実の娘を24年間監禁し、7人の子どもを生ませた"オーストリアのモンスター"ことヨゼフ・フリッツをご存じの方も多いのではないだろうか。今回は「イスラエルのフリッツ」と呼ばれたゴエル・ラツォンについてお伝えしよう。

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■被害者がいない? 警察のおとり捜査がはじまる

 ゴエル・ラツォン(Goel Ratzon)は長い間、カルトグループのリーダーとして知られていた。このグループの女性たちは容疑者をメシア(救世主)として崇拝し、一夫多妻制の「妻」となって性的交渉をもち、リーダーの子どもたちを育てていた。さらにラツォンは実の娘たちとも性交渉を持ち、妊娠させていた。ラツォンに娘を奪われた家族の中には、娘を取り戻そうとして警察やメディアに訴えた人もいる。

 社会問題となったことで、彼の「ハーレム」はかなり以前から注目を浴びていたが、警察は彼を実際に逮捕に持ち込むのに10年以上もかかった。女性たちは洗脳状態で、自らの意思でとどまっていると主張したので、警察はおとり捜査によってラツォンの犯罪行為を証明する必要があったのだ。


■集団生活の様子と女性たちの証言

 ラツォンの住んでいたテルアビブのハティクヴァ(Hatikva)は貧困地域である。彼はそこに狭いアパートを何部屋か借り、合計で少なくとも女性30人、子ども80人を住まわせていた。警察が彼らのアパートに家宅捜査に入った時、TVクルーも同行し捜査の様子を撮影したが、劣悪な小さなアパートからは女性10人と子ども17人が次々と引き出されたという。ラツォンが警察に連行される時、「妻」たちはラツォンを警察から守ろうとし、子どもたちは全員大きな声で泣き叫んだのだ。

 ラツォンの「パワー」は、長期滞在していたインドで培われたと女性たちは信じている。彼とともに12年間暮らしていたマーヤン・スミディさんは、「私はラツォンの妻ではありませんでした。奴隷でした」「私たちは何かにあやつられていました。不思議なパワー、魔法、催眠術のようなものに」と語る。

 ラツォンと暮らしていた女性の1人であるエフラットさんも、「彼に少し見つめられるだけで、誰もが催眠状態になってしまう」と警察に証言している。

 しかし近隣の住民は、ラツォンは家庭に恵まれず精神的に不安定な若い女性を食い物にしていただけだと言う。女性たちは彼を崇め、彼の不興を買うことを何よりも恐れ、自殺未遂までした女性もいたということだ。

 では一体、30人の「妻」と80人の子どもの生活費はどこから来ていたのだろうか? 女性たちは全員、シングルマザーとして国から児童手当を受け取っており、また掃除婦として働きに出ていた。そして、それらの給料と国からの児童手当はすべてラツォンが手にしていたのだ。


■ラツォンによる支配と洗脳

 しかし、これだけ多くの女性を、ラツォンはどうやってコントロールしていたのだろうか。

 まずラツォンは、女性たちがこのグループに加わると家族や友人との関係をすべて絶つよう強制した。そして女性たちが男性の雇用主の元で働くことや、たとえ親族でも男性と話す事を禁じていた。また女性たちに彼をメシア(救世主)と思い込ませ、自分は女性とその子どもたちをいつでも重い病気に罹らせることができると言って脅したのだ。そして、同時にさまざまなルールと罰を定めることで女性たちをコントロールしていた。それは「ラツォンのルール」と呼ばれ、些細な行動にも罰金が科されていた。

 この「ラツォンのルール」の例を挙げると、「ラツォンの行動や意を質問する事は、一切許されない:破った場合の罰金400シェケル(約1万2,400円)」、「ラツォンの全ての命令には直ちに従う事:罰金300シェケル(約9,300円)」、「皿洗い、掃除、子どもの世話などの仕事がある時に座っていてはならない:罰金2,000シェケル(約6万2,000円)」等である。このように細かい規則で女性を縛り、中には「階段に座って休んだ」というような些細な事にさえ罰金が科されていた。

 そして「妻」たちの多くは、ラツォンの姿を模した入れ墨を身体に入れており、子どもたちは全員が、ラツォンの名のもとヘブライ語で「救い主」を意味する「Goel」をミドルネームとして与えられていた。さらにラツォンが逮捕された場合には、自殺するようにとも命ぜられていたのだ。

 イスラエル警察のスポークスマン、ミッキー・ローゼンフェルド警察官は、「ラツォンは女性たちを完全に洗脳していました。そしてその結果、女性たちは自分たちの状況や自由について理解ができなくなったようです」と語った。また、警察は女性たちが集団自殺を試みることを危惧していたとも述べた。


■禁固30年の判決が下る

 2010年に逮捕されてから4年目の2014年、ゴエル・ラツォンはイスラエルの裁判所から強姦(ごうかん)罪、強制わいせつ罪、近親相姦罪など複数の性犯罪で禁錮30年の判決を言い渡された。女性と少女6人に対する複数の強姦罪や性犯罪では有罪となったが、奴隷化の罪については無罪となった。

 ラツォンは現在60代半ばなので、出所時には90歳を過ぎているはずだ。刑務所で一生を終える可能性も高い。しかし、残された女性たちと子どもたちは今後どうやって暮らしていくのだろうか? 例え洗脳が解けても、ラツォンが80人もの子どもの父親だという事実は消えない。女性が家に戻っても、罪のないラツォンの子どもたちは、その家族から温かく受け入れられるだろうか? 80人もの子どもたちの人生を狂わせたラツォンの罪は、、極めて深く重い。
(文=三橋ココ)


※画像は「BBC」の記事より引用