抗日戦争勝利70周年を前に国内大混乱中! 大規模“反日”デモも準備着々…… | ニコニコニュース

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日刊サイゾー

「抗日戦争勝利70周年」を祝う閲兵式が9月3日に行われますが、それに向けて、中国国内は慌ただしくなっています。

 中国の入学式は日本と違って9月初旬からなのですが、BBCの報道によると、中国共産党中央宣伝部は、全国の大学や高校、中学校、小学校に対して「入学初日の授業では昔の日中戦争を忘れてはならぬ国の恥として教え、愛国主義や愛党精神を再び強化するように」と通達したようです。70周年の式典を機に、国を挙げて反日精神を叩き込もうというわけなのでしょう。

 また、この式典においては、北京の日本領事館前で反日デモをやろうという動きも盛り上がっています。このデモのターゲットとなる日本の行いは、以下の3つです。その1、安倍首相が閲兵式に参加しないこと。その2、日本政府が、出席を表明した国連事務総長の潘基文氏を叩いたこと。その3、天皇が謝罪の表明をしていないこと。

 中国ではデモが法的に禁じられていますが、この事前の動きが全く取り締まりを受けていません。中国政府公認のデモなのです。9月3日に大規模な反日デモが起こる可能性は高いといえるでしょう。

 そして現在、天安門広場の近辺では厳戒態勢が敷かれています。

 広場周辺の数十キロは封鎖され、立ち入り禁止となりました。その区域には立ち入ることができないため、タクシーもバスも目的地に向かうためには大回りしなければなりません。

 悲惨なのは、その封鎖区域内に住んでいる人たちです。コンビニもスーパーも営業していないため、その外の地域へ買い出しに行かなければならないのですが、周辺のセブン-イレブンなどには大量の人々が行列をなしており、まるで大震災で物資が不足しているような事態となっているのです。

 さらには、テロに利用されたらまずいということで、ガソリンスタンドが広い範囲で営業停止となりました。北京市内で中華包丁を購入する際には、申請の用紙に記入し、身分証を提示しなければならないとも定められました。その用紙には民族名も記入しなければならないため、ウイグル人だと購入を断られる可能性もあるでしょう。封鎖区域の周囲のレストランで食事をする際にも、身分証を提示しなければなりません。

 今回の式典は、中国のメンツをかけたものなので、北京市内の大半のレストランが、ご飯を炊く際には薪を使用してはならないと通達され、政府の役人によって、かまどに封印の紙が貼られていきました。せめて式典の間ぐらいは北京の空気をきれいにしようという思惑のようですが、これは意外と効果があったみたいで、確かに最近の北京の空は少しきれいになったようにも思えます。

 現在、ヘリコプターと戦闘機のリハーサルも頻繁に行われていますが、市民がそれを撮影してネット上などに投稿しようものならば、すぐに削除されます。現場でも多くの赤い腕章を付けた婦人風紀委員が監視していて、写真を撮る人々を注意します。中国機関メディアの正式報道以外は、報道してはならないのです。実はこのリハーサルによって一機のヘリコプターが墜落していますが、それはすぐさま報道禁止となりました。

 こうした情報統制をはじめ、市民の生活を顧みない営業停止措置に対しては、国民から多くの批判の声が上がっています。

「この抗日戦争勝利70周年イベントは、反ファシストに対する勝利イベントのはずだ。なのに、中国政府がやっていることはファシストそのものだ!」

 といった皮肉めいた批判が渦巻いています。全くその通りで、おかしな話です。

 では肝心の閲兵式の様子はどうかというと、テレビの訓練の報道を見る限りでは、それはそれは立派なものです。兵士たちは一列に並んでいるのですが、その立っている位置は1センチたりともズレがなく、身長もデコボコではなくてぴったりと揃っているのです。見事なまでの統制です。実は、全員が揃うように、並んでいる列の前には細い糸が引かれていたようです。

 さらに、そこには女性兵士も混じっていますが、その胸の部分だけを切り取った写真がネット上にアップされたところ、ネット住民たちの驚嘆を呼ぶこととなりました。なんと、バストのサイズもぴったりと揃っていたのです。こんなところまで統制するとは、中国共産党の力は恐るべしといったところです。ネット上では「そんなバカバカしいところに細かくこだわって、なぜ、天津爆発事件の死者数が適当なのか?」という声が上がっています。

 こうして全体主義国家の威信を見せつけるべく準備が進められている式典ですが、天津爆発事件や株価暴落など、きな臭い空気が蔓延している国内においては、それが無事に執り行われるかどうかは全く保証がありません。異様な緊迫を孕んだまま、その日を迎えようとしています。

●そん・こうぶん
中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。
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