3カ国語でアフレコ体験!?――声優・朴璐美さんに聞く世界に拡がるアニメの魅力 | ニコニコニュース

声優としてスシニンジャのマグロ役の他、『鋼の錬金術師』で主役のエドワード・エルリック役を演じた経験を持つ人気声優だ
ダ・ヴィンチニュース

 夏休みも中盤の8月上旬。都内でちょっとユニークな収録が行われた。カナダ、メキシコからYouTuberやコスプレイヤーを招き、『鋼の錬金術師』のエド(エドワード・エルリック)やTVアニメ「NANA」の大崎ナナ役などで知られる朴璐美さんとのアフレコ体験会が行われたのだ。通訳を交えながら日本語・英語・スペイン語で賑やかに行われた体験会を振り返りながら朴璐美さんへの独占取材を行った。

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――今回はじめて海外の一般の方にアフレコのご指導をされたということですが、どうでしたか?

朴:はじめ戸惑いはしましたが、今回題材となった「スシニンジャ」を、あんなに愛して、がんばってくれてちょっと感動しました。私も学校をやっていたりするのですが、まずない体験だったので、墓場まで持っていく思い出になりそうです(笑)。

――朴璐美さんが緊張するカナダからのゲストの背中を「ぽんっ」と叩いてあげることで、演技がスムーズになったので驚きました。

朴:子役の人や新人さんが、絵に合わせるタイミングが分からないときに、やってあげたことがあります。「いつ声を出せばいいんだろう」という迷いがなくなるので、安心して声がでる=いい演技ができる、のかも知れませんね。

――今回、英語・スペイン語・日本語での3カ国語収録となったわけですが、日本のアニメが世界で親しまれるようになっている、という実感はありますか?

朴:「どう演じるか」ということに専念してきたので、世界に発信しているという感覚はあまりなかったんです。でもつい最近、アメリカのOTAKONというイベントに招待頂く機会があり、サイン会やQ&Aセッションがあり、自分の仕事が地球に発信されている、画面の向こう側にこんな世界が拡がっているという感覚を覚えたんですね。日本も世界もファンの「スピリット」って同じなんだ、世界は1つだって。

――メキシコからのゲストも、NANAのファンで生で朴さんに会って感激してましたね。

朴:海外でも、NANAやデジモンアドベンチャーのポスターやぬいぐるみを持ってきてくれて、サインを求められたり――こちらが感激しちゃいますよね。

――海外のアニメでは、プレスコ(先に声を収録してそれにあわせた絵を作る)が中心で、今回、ゲストの皆さんはアフレコに最初戸惑いもありましたね。

朴:たしかにそういう面はあったかも知れませんね。スシニンジャも、実は最初はプレスコに近い形で収録しましたので、逆につい普段の癖で「あてにいってしまう」自分たちに戸惑ったりもしました。だから、彼らの気持ちもよく分かります。スシニンジャでは、そこは切替えて、宮野くん、梶くんがどんな感じで演じてくるのだろうって、そのノリとテンションを楽しんでやってましたけどね。

――日本アニメの「声の演技」の特徴かも知れませんね。朴さんが「アドリブを付けてみよう!」ってアドバイスしたときも、最初、ゲストの皆さんもキョトンとしてました(笑)

朴:なるほど、それが原因か―。プレスコだと、収録のときに自然にアドリブが加わりますからね。私たちはアテレコ(アフレコ)の場合、アドリブの呼吸からセリフにつなげていったりするので、アドリブが重要だったりするんですよね。ふむふむ、勉強になりました(笑)。

――今回、スシニンジャというユニークなアニメに、またユニークな顔ぶれでアフレコを行ったわけですが、朴さんが現在、ダ・ヴィンチニュースの読者にお勧めしたい作品はありますか?

朴:いま私が、フィンという役を演じている「アドベンチャー・タイム」ですね。核戦争後の世界が舞台で実は深いテーマが込められていて、日本から湯浅政明監督も参加したエピソードも話題になったんです。スシニンジャとあわせて、ぜひチェックしてみてください。

 また、9月からは舞台「GS近松商店」にも出演します。観月ありささんが主演、鄭義信さんが作・演出で、「生きる」ってどういうことかという問いを突きつけられるような、ライブ感のある舞台になると思います。アニメが好きな方にも、リアルな場で心臓をわしづかみされる感覚を味わって欲しいですね。

――楽しみにしています。本日はありがとうございました。

取材・文=まつもとあつし